HASH BLOG

ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

デトロイト

車で3時間弱、近いような、遠いようなデトロイトに行ってきました。実は渡米前から気になっていたスタートアップがあって、今回はそこがガイドしてくれるスプレーアート(グラフィティとストリートアートを合わせたようなイメージでしょうか)を巡るツアーに参加してきたのでした。

2013年に財政破綻する以前から、街(特にダウンタウン)はアブナイと聞いていたのでビビってたんですが、実際行ってみて感じたことと言えば、気を抜いちゃ行けないなってことでした(笑)。テクノミュージックの産まれた街でもあるのでクラブなんぞのぞき見したかったのだけれど、その勇気も出ないほど。

街の成り立ちの歴史的背景は財政破綻以前からいろいろあるようなのでここでは割愛するけれど、街のスケールというか都市計画がもう人間を寄せ付けないスーパースケールなのが印象的。基本的に車がないと生活できないし、(冷たい雨の日曜日だったことを差し引いても)街中の歩道を歩いてる人も結局ほとんど見かけない。(人がいない、というわけではない)
道路はそこら中冠水してるし、インフラのメンテナンスが追いていないのが一目瞭然。橋桁の下なんかでは道路が池みたいになってて、立ち往生している車もちらほら。

そんなネガティブなイメージが先行しがちな街ではあるけれど、次のステップへ進めるべくいろんなことが渦巻いてるのも同時に感じることができました。今回巡ったスプレーアートもその1つ。

Splash Muralsの、消火器を使ったやつ。9階建てのビル一面の大きさ。

冒頭にガイド役のMattから投げかけられた質問は、「グラフィティとストリートアートの違いって何だと思う?」でした。1つの帰着点はというと、それがlegal(合法)であるか、illegal(非合法)であるか。もしくはある種のヴァンダリズムと言われるような文化破壊がグラフィティで、それがクールなものとして受け取られてコマーシャリズムに迎合したものがストリートアートだ、っていう見方もある。

デトロイトの街中は普通の街に比べて明らかに荒廃しているし、そこら中にグラフィティが溢れてる。グラフィティが少ないエリアは、「あぁここは人が“キチンと”生活してるところだな」っていう安心感すらあるほど。
でもデトロイトの面白かったところは、ブラック(非合法)なグラフィティを、用途のなくなった壁(もしくはただの壁)にオフィシャルに(ホワイトに)開放して、なにが合法で何が非合法なのかすら曖昧なグレーゾーンを拡大し続けているところにあると思う。行政がラクガキ対策としてやる壁の開放なんかじゃなく、街で生活してる人たちがそれを進めてる。
それは従来的な意味でいう街の“美化”ではないのだけれど、確かに文化的な、あるいは俗として受け入れようとしている。ストリートの文化なので、コマーシャリズムとの結託を忌み嫌うアーティストもいるらしいのだけど、そういった動きともまた違う感じがする。

MEGGS (houseofmeggs.com)

今回お世話になったDetroit Bus Companyは、財政破綻後に縮小してしまった公共交通をカバーするために立ち上げられたスタートアップ。いわゆる私立のバスカンパニー。古いスクールバスを活用し、スプレーアートをバス本体に施して(アーティストのタギングまであった!)、堂々と小中学生の通学や都市観光の一端を担っている。
彼らは実に自由で、楽しそう。これが一番重要なポイント。公共サービスってなんなのかね、とも考えさせられた今回のデトロイト。
なんだか上手くまとめられないのだけど、このごちゃごちゃとしたモノを早めに定着させておいた方がいいかな、通ってそのままエントリー。

※掲載した2つのスプレーアートは両方とも合法とのこと。
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NYCxDESIGN

ふとネットで目にしたサイトを見てからこりゃすぐにでも行かねばならぬと、慌ててチケット予約してニューヨークに行ってきまして。

NYCxDESIGN。

東京デザイナーズウィークのように、起業スポンサーがたくさんつく見本市的なものかと思っていたらそうではなく。もちろんそういうイベントや企画展もあるんですが、もうすこしアカデミックな性格のレクチャーや卒業・修了展示がたくさんあって、派手でエッジなイベントというよりは至ってまじめな印象。

Pratt Instituteで行われていた”Policy, Meet Design"という公開レクチャーにも参加させてもらって、デザインというものが入り込んでいる領域の広さにただただ驚くばかりでした。
テーマからも分かるとおり、社会中で役割を果たすデザイン、というものが実例と共に。ディスカッションのサブテーマは"Human centered design and government"。もうガッツリと「Government」と言ってるあたりがすごい。

パネリストたちがプレゼンテーションした内容は、刑務所、学校のランチルーム、女性起業家支援、警察の地域進出と、一見デザインとは何の縁もないような領域。それが、リサーチ、アイデア展開、プロトタイピング、アウトプットというステップを踏むことによってしっかりとデザイン的な解決がされている。あぁ、これはもう認識の違いというヤツを見せつけられてしまった感。気合いを入れ直さなきゃいけないなぁと思い直したぐらい貴重な時間でした。

学んだことはたくさんあったのだけど、中でもIDEOのコアメンバーの方が言ったこの言葉が印象的で。
“Measure effectiveness, not just efficiency."

噛みしめれば噛みしめるほど、味の出てくる言葉です。
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Creative Mornings

毎月第3金曜日のイベント。

Creative Mornings CLE

朝8時半から開場して、30分ほど簡単な朝ご飯を食べる時間があって、月替わりのゲストスピーカーが1時間弱あれこれとお話を聞かせてくれる、という感じ。毎月会場が変わるっていうのも、その都市のいろいろなスポットを知ることが出来るのでステキです。今月はパブリックライブラリーが会場。

金曜日の朝、っていうのがポイント。日本じゃこの時間に会社員がイベントに出てくるなんてあまり考えられないけれど、こちらではそれが出来る。“朝活”ほど自己研鑽感は強くないけれど、朝ご飯のおかげでユルい連帯感が生まれてイイ感じです。できればこのイベント日本に持って帰りたいなぁ。
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サードウェーブ

ちまたで噂のサードウェーブコーヒーは、ロスでもちらほら見かけました。イチバン有名なのはやっぱりココかな。

Blue Bottle Coffee @Arts District

スタバとか、いわゆるセカンドウェーブと言われるコーヒーショップとの一番大きな違いは「フレッシュさ」でしょうか。
コーヒーをオーダーすると、一杯ずつ豆を挽いて、ペーパードリップで淹れてくれます。店舗の奥には、大きな焙煎のマシンがあって、まさにその場所で焙煎まで。豆は超浅煎りで、深入りのコーヒーに慣れた舌にはものすごく酸っぱく感じます。これもまぁ、またコーヒーなんだなぁという感想。

CEOであるジェームス・フリーマンも日本の喫茶店大好きと言ってるようで、うん、これは効率化された日本の喫茶店じゃないか、とも思うわけです。一杯ずつ淹れたりするのは、昔ながらの喫茶店なら今でも当たり前にやってる。日本に限らず、パリの小さなカフェとかもそうなんだろうなぁ。
そういう、”個”に根ざした店舗運営がまた、必要とされている時代。

店舗内は結構ガランとしていて、日本の喫茶店のような、ある良い意味でのlazyなリラックス感はありませんでした。コーヒーすすりながらぼんやり店の角に置いてあるテレビ見たり、雑誌読んだりスポーツ新聞読んだり、そういうことをする場所ではないようで。Wi-Fiもなかったので、ラップトップ取り出して作業している風に振る舞う場所でもないらしい。でも流れている空気は清々しくて今っぽく、コーヒーに対する文化背景の違いが感じられてなかなか面白い場所でした。
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謹賀新年

あけましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

まさかこんな日が来るとはあまり考えてもいませんでしたが、今年はロサンゼルスで年越しでした。住んでるところは寒いので、あったかいところでのんびりと。

いつもの海の写真も、ローカルのサーファーとのコラボレーションでそれっぽく@ベニスビーチ。

2014年は人生初の海外生活が始まって、環境も変わったし、それによって自分もすごく変わったんじゃないかと、年の瀬に一年を振り返って考えていました。変わるとはどういうことだろうなぁということも合わせて。

色々と大変なことも多いけれど、決して後ろ向きな気持ちではなく、ポジティブにこの変化と自分が考えるデザインを巡る状況をあれこれ楽しんでいければなぁと思います。

正直なところ、いろんなことが起こりすぎてこのブログの更新もスローペースになってしまってますが、これからも引き続きこちらはのんびり続けていきます。Facebookの方は小刻みに更新してます。プライベート設定になってますので、もし見かけたらメッセージと共にリクエスト下さればお応え出来ると思います。

本年も、何卒よろしくお願い致します。
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マンハッタン諸々

およそ12年ぶり、今回の滞在は4日間だけだったのだけど、いろいろと巡り巡り。大学3年生の時に来たNYは、9.11のテロから半年しか経っていない時期でまだまだ街はグチャグチャの状態でした。まだWTCの跡地は工事ガンガンしているし、都市として100%かというとそうでもないのだけど、それでも個人的になんだか感慨深いNY滞在となりました。

以前行ったときのMoMAは、谷口吉生設計の増築案がまさに工事中で、半分くらいしか公開されておらず。増築部分を含めた全体像を見るのは実は今回が初めてでした。
収蔵作品はもちろん、空間とボリューム、視線と視線が交錯する空間はとても清々しい。ただちょっと混雑し過ぎで、マティスの企画展は見れず。

ハイラインは今回もっとも行きたかった場所。都市再生の仕掛けとしても面白いし、設計はもちろん、計画手腕がその評価に対してグッと前に出てきているのが心強い感じ。一時期の卒業設計で多く提案されていた「表と裏をひっくり返す」というような提案が普通に実現しているし、周辺の開発もハイラインに合わせて進んでいるのがまた興味深い。

ハイラインついでにチェルシーマーケット。ここも元ナビスコのクッキー工場をリノベーションした屋内商業施設。ザックリ、非常にザックリなんだけど、これがイイ塩梅なんだろうね。㋹ギュウレーションの関係もあって、なかなか日本じゃできない場所。

そして同じくチェルシーのガゴシアンギャラリーで村上隆個展。日本ではなかなか評価が分かれているし、個展自体開催される機会が最近はなかったけれど、スーパーフラットだなんだはちょっと横に置いておいてイイと思えるほどのパワー。お金も人力もかかったリッチな作品ばかりだけど、その迫力たるや圧巻でした。
SANAA設計のニューミュージアム。ボリュームを切ってずらした設計は、単なる形態のお遊びではなく、現地に行ってみると巧みに周辺環境へ呼応するための解であることが分かります。

あとは念願のエースホテルに泊まったり、新しくなったフルトンセンター見たり、ソーホーで美味しいハラミサンド食べたり。近年の都市計画も成功して、治安も徐々に良くなっているニューヨーク。ネガをポジに変えて見せるのが、とても上手いんだよなぁ。
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ワイエス

週末を利用してワシントンDCに行きました。

首都でありながら、NYよりも規模は大きくないというのが不思議な印象でしたが、なるほど首都機能に特化した都市だと考えると合点のいく、それはもうそれ専用に設計された特殊な街という印象。今回は街の印象ではなく。

アンドリュー・ワイエス “Looking Out, Looking In"

ナショナル・ギャラリーでたまたまやっていた、ワイエスの展覧会。アメリカ美術っていうとコンテポラリーなものしかほとんど意識になかったのだけど、ビビッときて他の展示を放ったらかしてワイエスの絵ばかり見ていました。

ボクの不勉強なだけで、ワイエス自体はとても有名なアメリカの画家だそうで。
図録の表紙にも採用されている「Wind from the Sea」。窓の構図、光の加減、ふわりとかるいレースカーテンの構成がとても“格好良い”。他にも郊外の住宅をテーマにしたシリーズが印象的で、その中でも室内の、窓辺を取り上げたものがツボでした。どれも差し込む光が印象的で、構図が構築的。

展示室には、絵画になる前の“スタディ”やスケッチがたくさんありました。スケッチがラフであればあるほど、その構図と光が印象的に浮かび上がってきて、出来上がった精緻な絵画よりもむしろそちらの方をずっと見ていたい感じ。

いや、スケッチとはそういうものなんだろうな。アイデアを瞬間冷凍する手段。だからこそ、なにがそこに取り込まれているかが見える。スケッチがつまらなければ、作品もつまらないのはたぶん、絵画の世界だけでない。
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都市のイメージ2

渡米から2週間が経ちました。不慣れな生活とやらなくてはいけない身の回りのことに追い立てられている状況ではありますが、MLB見に行ったりビール飲んだりビール飲んだりしながらそれなりに生活は出来ている状況です。

新しい環境に、いろいろ身近なところで気になるモノやコトがたくさんあります。
街のいたるところにゴミ箱があったり、食生活にデリカシーがなかったり、緑の多さに驚いたり、良いことも悪いことも。街の印象はいろんなモノの集積によって形作られるのだけれど、こちらの都市デザインは概ねおおらかだなぁと思うことがたくさんあります。

その一因がこれかなぁと、気付いたのは最近のこと。

道路のライン。

日本のそれは、ポテッとした厚みがあって、エッジがピシッと決まっていて、とても“姿勢がいい”感じのするものでした。
僕の住んでる街のまわりだけかもしれないのだけど、こちらのソレは、ステンシルしたかのようにエッジがもやっとしていて、なんだかだらしないというか、優しい面持ちです。

道路の白線。デザインという舞台上に上がることもないようなものだけど、歴とした公共のデザイン。以前のエントリーで、マレーシアの横断歩道についても書いたことがあったっけ。こういうものの連続、積層が、多くの社会的印象を形作っているんですよね。そういうことです。
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10周年

このブログ、いつぐらいから書き始めたのかなぁと思って最初のエントリーを見てみたら、2004年の七夕、7月7日がその日でした。

つまりそう、今日でちょうど10周年。

まさか、10年も続くだなんて。

10年経った今、流れ行く日常をほんの少しだけ振り返ってみると、何も変わらないエントリーがそこにあったりして、こそばゆい気持ちになったりもします。

大変ありがたいことに、読んで下さってる方がいてくれて、HASH BLOGの人ですねって声をかけて下さる人もいて、そこから出会いがあったりとか、つながりが広がったりだとか、時には悲しいお別れもあったりだとか。
ナナメから見るとこういうメディアって、なんだかこっぱずかしいものに思えるんだけど、10年も続けてしまうとそういうのも消えてしまうのだなぁ。

総じて言えることは、続けてきて良かったなぁという感想です。
これからも、のんびり気負わず、「僕とデザイン」について、淡々とメモしていこうと思います。

記念ということで、ノリでこんな映像もあったりします。
Thanks to Take Shibuya (http://takeshibuya.com) !

THE INTERVIEWS OF HASH BLOG - Yusuke Hashimoto from takeshibuya on Vimeo.

 
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情報量

知識人からしたらまだまだ足元にも遠く及ばないのだけど、子供の頃まっっったく活字を読まなかった僕にしては、よくもまぁこれだけ集まったなぁというのが本音。

引越しにあたって、全部は持って行けないのである程度処分しようと思うものの、でも、またもしかしたら読み返したくなるかもなぁという本もあり。そういうのは、自炊してみようかと思ったのだけど。

内容を思い出すために、本をパラパラっとめくってみると、線引きしたページがどのあたりだったか、とか。印象に残ってるフレーズはどのページだ、とか。不思議とわかったりする。
紙質、内容、字詰め、印刷の色やにおい、ページ数、本の厚み。物質としての本が持つ膨大な情報量が僕の記憶とどこかで弱く、でもたくさん紐付けられているのだなぁ。

物理的存在感、というのは、質量以外にも圧倒的に膨大な情報量を持っている。翻って、デジタルデータはどうだろうか。そんなことを、考えさせられる出来事。
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