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ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

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クラウンホール

ミース設計、イリノイ工科大学のクラウン・ホール。
オリジナルではなく改修されたのだと思うけど、最下段のガラスが磨りガラスになっていて、中に入った印象が他のミース建築とはちょっと違います。空間が内向きの印象。

一見するとほんとに「ふつう」です。
でも、普遍的には見えるけれど、構造的にはちょっとふつうではないことをやっています。柱に”見える”H形鋼は実は柱でなかったり、シンプルな箱を実現するための工夫が随所に。Less is Moreの”More”は「豊かである」と訳されたりもするけれど、この豊かさというのは単に削っていくことだけでは生まれないんだぞ、という哲学が感じられる建築。
プランはこれ以上ないくらいのユニバーサルスペースです。今は、大きな机が無造作に並べられて、建築学科のエスキス部屋として使われてました。

こちらはクラウンホールにスタックされていたスチール製のハイスツール。ボク好みの真っ直ぐな脚。シンプルで、道具として使い込まれた椅子が、シンプルで緩やかなユニバーサルスペースによくマッチしていたので。
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シカゴ

現地の人たちには、”ビーンズ”の愛称で親しまれてる彫刻。ミレニアムパークのイチバン目立つ場所に鎮座しておりました。

"Cloud Gate” by Anish Kapoor

マイナス3℃の寒空なんだけど、絶えることのない人。
通常、アートっていうものには機能がない。なぜなら、何かを解決することを求められていないから。どこかで聞いたことがあるような言い方を流用させて頂くと、アートに求められているのは問題定義である、と。

カプーアが作ったこの彫刻は、ピカピカに磨かれた鏡面の歪な曲面が、今まで僕たちが見たことなかったような都市の姿を映し出す。それは、"見たことのない都市の姿”という問いの投げかけであるようにも思えるし、もっと純粋に考えれば、都市を楽しむためのひとつの装置として機能しているという風にも思える。
実際は、後者の印象が強いんだよなぁ。デザインとアートの中間領域、みたいな。

というわけで、人生初のThanksgivingホリデーは、シカゴで過ごしております。七面鳥も食べました。
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マンハッタン諸々

およそ12年ぶり、今回の滞在は4日間だけだったのだけど、いろいろと巡り巡り。大学3年生の時に来たNYは、9.11のテロから半年しか経っていない時期でまだまだ街はグチャグチャの状態でした。まだWTCの跡地は工事ガンガンしているし、都市として100%かというとそうでもないのだけど、それでも個人的になんだか感慨深いNY滞在となりました。

以前行ったときのMoMAは、谷口吉生設計の増築案がまさに工事中で、半分くらいしか公開されておらず。増築部分を含めた全体像を見るのは実は今回が初めてでした。
収蔵作品はもちろん、空間とボリューム、視線と視線が交錯する空間はとても清々しい。ただちょっと混雑し過ぎで、マティスの企画展は見れず。

ハイラインは今回もっとも行きたかった場所。都市再生の仕掛けとしても面白いし、設計はもちろん、計画手腕がその評価に対してグッと前に出てきているのが心強い感じ。一時期の卒業設計で多く提案されていた「表と裏をひっくり返す」というような提案が普通に実現しているし、周辺の開発もハイラインに合わせて進んでいるのがまた興味深い。

ハイラインついでにチェルシーマーケット。ここも元ナビスコのクッキー工場をリノベーションした屋内商業施設。ザックリ、非常にザックリなんだけど、これがイイ塩梅なんだろうね。㋹ギュウレーションの関係もあって、なかなか日本じゃできない場所。

そして同じくチェルシーのガゴシアンギャラリーで村上隆個展。日本ではなかなか評価が分かれているし、個展自体開催される機会が最近はなかったけれど、スーパーフラットだなんだはちょっと横に置いておいてイイと思えるほどのパワー。お金も人力もかかったリッチな作品ばかりだけど、その迫力たるや圧巻でした。
SANAA設計のニューミュージアム。ボリュームを切ってずらした設計は、単なる形態のお遊びではなく、現地に行ってみると巧みに周辺環境へ呼応するための解であることが分かります。

あとは念願のエースホテルに泊まったり、新しくなったフルトンセンター見たり、ソーホーで美味しいハラミサンド食べたり。近年の都市計画も成功して、治安も徐々に良くなっているニューヨーク。ネガをポジに変えて見せるのが、とても上手いんだよなぁ。
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Dia: Beacon

学生のころに訪れた分もカウントすると、マンハッタンにある美術館も色々と行きました。グッゲンハイム、メトロポリタン、MoMA、ニューミュージアム、等々。そのどれもが素晴らしいのだけど、今回行った場所はグランドセントラルから電車に揺られて1時間半ぐらい。Beaconという郊外の街にあるココでした。

Dia: Beacon

良いぞ良いぞ、と噂は聞いてたのだけど、期待をまったく裏切らない素晴らしい場所でした。電車が1時間に1本しかないにも関わらず、予定時間を2時間オーバーして滞在。

ナビスコの古い工場をリノベーションした美術館です。外観はなんてことないのだけど、中めくるめくモダンアートの世界。ところどころラフに残された”工場”感、フラットで広いフロア、のこぎり屋根から優しく差し込む自然光。作品自体はどれもサイトスペシフィックなものではないのだけど、だからこそなのか、リノベーションと現代アートは親和性が高いなぁとつくづく思う。作品があることで、その場所がその場所だけのものになる、と言えばいいのか。

中でも個人的に非常に印象的だったのは、Fred Sandbackの毛糸を使った作品群。ただの細い毛糸が、空間を規定する様は、非常にスタティックなんだけどスリリングで緊張感がバシバシと伝わってくる。あれはもう一度、いや何度でも見たいなぁ。

アメリカの美術館にしては珍しく、館内は写真撮影禁止、パブリックWi-Fiもありません。だから、その分鑑賞者は作品と対峙するしかなく、展示に対して集中することができる。それもなにか皮肉なんだけど。
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