スニーカーって、脚を包む・地面と足の間でクッションする、っていう基本的な機能はずっと変わらないのに、そのつくりかたや素材が特に最近劇的に進化しているものの1つだと思うのです。
ちょっと前にナイキがフライワイヤーなる製法を発表したと思ったら、もう今はフライニット。靴下のように1本の繊維から編み出されるニットを、伸縮性と耐久性が同時に求められるアウターシェルに使っちゃうっていうんだからホントにすごい。
ソールだって僕ら世代は“エア”一辺倒だったのが、最近では素材そのものの進化によってフリーソールやルナソールなんかの一体成形が主流だったりする。
こういうハイテックな方向性とはまた別に、スニーカーを形作る形態ボキャブラリーもまた、ガラっと変わってしまっていて。普段ハイテクシューズなんか滅多に履かないのに、このグラフィカルな見た目になんかグッときてしまって思わずスウェーデンからお取り寄せ。
Nike Sportswear Lunarfly 306
メッシュ素材のノッペリとしたアッパーに、伸縮性のある極太ベルト。そこに“JUST DO IT.”と。
ただスニーカーを履いてるというよりは、“ナイキ”を履いてるっていう感覚に近い。
近頃のスニーカーのデザインは、いわゆる「意匠」というよりは、製法そのものを発明する方向だと思うのです。このあたり、ユニボディを生み出したAppleのスタンスとかなり近いものを感じます。製法を開発して、なにに使えるかを考えるんではなく、こういうものをつくりたいという理念があって、そこに技術が追いついていくという順序。
シューレースはないんだけど、アッパーの伸縮性と絶妙な形状のベルトでピッタリとフィット。横方向の動きはダメかもしれないけど、エクササイズとかランニングぐらいなら十分追従してくれる。最小限の手数で、最大限の効果を。
しばらく大人げもなく愛用してしまいそうです。