TALK03の途中から、BARでCOEDOビール飲みながらぼーっと。初めて生で清水久和さんと作品を目の当たりにして幸せな気分。
本命はTALK04。ゲストは岡瑞起さん、田中浩也さん、藤村龍至さん。田中さんは学生時代からボクのど真ん中の方。建築をやりながら振れ幅が大きく、今はFabLabジャパンの代表をされてます。 テーマは「システムの設計・システムデザイン」、あるいは「設計の設計」。
「テクノロジーとビジュアライゼーションによって“モデル化”を超える」という、岡さんのお話。MITのデブ・ロイのリサーチを引き合いに出して。それは、複雑系を複雑系のまま捉える、ということ。これまで処理しきれなかったボリュームの情報処理がテクノロジーの発展によって可能になった。ここでいう“システム”とは、一見なんのルールもない状況から、ある一定の法則性を見いだす、ということ。
問題解決の1方法論と思っていた“モデル化”という手法が、つまりは簡素化だったんだなぁという発見。簡素化するから本質が見える、というのもあるのだろうけど、それによってこぼれるもの、デザインイーストのテーマを借りれば「中心」ではない「周縁」が必ずある。それをこぼさずに処理することで、なんだか先の次元へと進めるような気がして、ちょっと勇気がわいたのでした。
FabLabのお話も衝撃的だった。必要なモノを、必要なときに、必要な人がつくれるようになっていく、というパーソナルファブリケーションの話。誰もがモノをつくれ、デザイン行為にコミットできる時代へ。そこにはこれまでブラックボックス化され、感性やセンスという未知なるものに固くガードされてきたデザインのプロセスが、オープンかつソーシャルになってゆく。
個人の意志のみを反映したモノが生産される時代。「モノを大切に使う」という当たり前の価値観が揺らぐ。
藤村さんは、いつもの超線形設計プロセスのお話がいろんな実例を踏まえてバージョンアップしてました。横濱ハーバーシティー・スタディーズのワークショップ手法が面白かった。
ある学生さんがした質問につなげれば、「第1次産業革命は、ブルーカラーの職能を奪った。これから来る第2次産業革命は、考える人=ホワイトカラーの職能を奪うのでは?」となる。設計者・デザイナーという職能の存在価値、もしくはその職能自体とは、どうなっていくのかという、すごく大きい問題定義を孕んだ有意義なセッションだった。
そもそも建築や都市(大きく捉えるとプロダクトも)の持つ環境・状況へのインパクトたるや非常に大きく、誰が意志決定し、何が正解か、という問いが常につきまとう。その、答えのない問いに答え続けていくということが、デザインであり設計なのかもしれないなぁ、とか。
「意志決定のプロセス」についていろいろ調べていたタイミングでもあったので、頭の中がぐるぐると攪拌されております。
いやしかしdesigneastは、去年と比べてもイベントとしてずいぶん洗練されてきてて、イイ感じでした。