HASH BLOG

ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

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ビエンナーレ

隙間時間が見つかったので、ふらふらと堂島へ。
太陽の下、久しぶりに中之島の川沿いを歩いて良い気分。目的地はほたるまち。これまたステキな名前のまち。
堂島リバービエンナーレ「Ecosophia」

どうしてもこういった“〜エンナーレ”なアートイベントは、サイトスペシフィックな作品を期待しがち。だけれどこのリバービエンナーレは、そのあたり割とあっさりな味付け。
リバーフォーラムのキューブ空間を利用して、アーティストの作品を展示。空間に依存しない分高度なコンセプトを掲げているのだけれど、そのおかげで、ローカルデータのがありにわかりにくくなっているというのもまた現実か。
いや、ボクの“読み”が浅いだけなのだろうけど。

建築家×アーティストという実践も、味付けとしてはあっさり。それだけ建築家が縁の下的な役割を担っているということか。

個人的には、カプーアのプロジェクト模型がたくさんあるのは楽しい。あとはチームラボ×柳原さん、映像と展示方法がさすが。磯崎新だけがロック。

ビエンナーレが世界各地で開かれて均質化する「ビエンナリゼーション」なる言葉があるのも知った7月末。
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シャンハイ

週末を利用した弾丸トラベル。

埋没しそうになる日々の中、すこしでもバランスを保とうと、一生懸命見たことのない世界へと。

前に行った北京がガヤガヤしたところだったから、中国はパスかなぁと思ってたのだけど、同行者の意見もありここへ。
上海。仕事切り上げて、着の身着のまま。

もう、めちゃくちゃパワフルな街。思ってたよりもずっと大都会。川のこちら側と向こう側。同じ中国でも北京とはまったく性格の違う街、都市構造。これが歴史というやつか。

のんびりグルメを、なんてことはなく、限られた時間の中でいかにこなすか。当初「旅猿」がテーマだったはずなのに、すっかり「弾丸トラベラー」になってました。

そんな中、ちょっと無理して足を伸ばした場所。900年以上前からある水郷古鎮、周荘にも。狭い路地、水路。水運のための舟。住宅の裏側に水路が面していたり、休憩所のようなパブリックスペースが取ってあったり、水路沿いの路地にベンチ状のしつらえがしてあったり。公と私を包含するようにこの水路が機能してる。
食事中のおばちゃん。

パブリックスペースの捉え方が全然違う。
身体感覚としての距離や空間が、より広範囲に及んでいて、それが他人と重なることを苦としない空気感がある。だから、より人目につくところに“生活”がにじみ出てきているし、それをみんな気にせず受け入れている。道路の上空に洗濯物干してみたり、生活空間がオープンになっていたり。
こういう、けっこう近い距離感で空間を共有しながらも、みんなそれぞれ思い思いに過ごしている風景は、独特ですごく面白い。

アートシーンも、と思い、こんなとこにも。

スロープとブリッジが多用されたこのRC造のこの建物、実は元屠殺場。食肉加工という目的の為に最大限効率的に設計された建築が、こうしてコンバージョンされ、商業施設としての面白さを演出しているというのも複雑な現実。

北京の798芸術区のようなとこかと思っていたらちょっと違って、こちらは(おそらく)大きな資本が入った商業施設+イベントスペース。フェラーリやドゥカティのオーナーズカフェ、レストラン、ワイナリーなどが入り、中央の大きなスペースではファッションショーやナイキのイベントなんかやっているよう。この日はがらんとしてたけど。

というわけで、ボクはこれからも、W+KのJohn.C.Jayが若いデザイナーに向けて言った10のレッスンを、実践していくつもり。
5.Travel as much as you can. It is a humbling and inspiring experience to learn just how much you don’t know.(可能な限り旅に出なさい。旅先で自分の無知を再認識するといことはとても謙虚で刺激的な経験である。)
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益子

せっかく関東にきたので、足を伸ばし栃木県まで。
電車で向かった途中、目の前で踏切にクルマがはまって立ち往生するハプニングに遭いながらも、はじめての栃木。
泊まったのはフォレストイン益子。設計したひと、内藤廣。

焼き物の街、益子。古くからの窯元がたくさんあって、濱田庄司の参考館があって、最近ではスターネットができて、カフェやプチホテルもできて。活気あるローカルエリア。

ランチにはいったヒジノワというカフェ。メニューになかったので「ビールありますか?」と聞いてみたら意外な答え。「向かいに酒屋さんがあるんで、そこで買ってもらって。で、持ち込んでもらって。」。
商売っ気がない、と言ってしまえばそれまでなんだけど、これも、元々そこにいるローカルな人たちとの共存のありかただなぁと思ったのです。元々あるものは、それを使う。そこになかったものを持ち込む。こうしてイイ関係は生まれていくのかな。
残念なことに、楽しみにしていたスターネットの山の食堂は、地震の影響でクローズ中。17:00過ぎてやっている飲食店はほとんどなく、もしかしたら食いっぱぐれか…と思いながら、スターネットのスタッフの方に尋ねたところ、地元のおそば屋さんを教えてもらいました。
やぎさんだけは、美味しく食事中。

それがあづま庵。手打ちのそば・うどん屋さん。豪快でノリの良いおばちゃんが居て、19時を回ったあたりから地元の人たちがどんどん入ってきて、そば食べたり、焼酎飲んだり、焼き鳥食べたりしている。こういう風景は、なんだかいい。
蕎麦屋なんだけど、それだけじゃない存在。

地方における需要と供給。というのは、感じた違和感。
とあるパンやさんは、開店と同時に県外ナンバーの車でいっぱいになり、2畳ほどしかない店の前には列ができる。この状況は、バランスレスだなぁと思う。観光産業の、むずかしいところ。
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再編

あるよ、と聞いてから何の迷いもなく申し込んだシンポジウム。今回は、このシンポジウム聞くためだけに、東京へ。
「3.11後の社会デザイン−東北の再生と日本の再編」

カルチャーススタディ研究所の三浦展さんが呼びかけ人となり、藤村龍至さん司会で2部構成で行われました。第1部は社会経済学者、NPO論者、「仮住まいの輪」の発起人、福祉社会学者など様々な顔ぶれ。第2部は東大の大野秀敏先生、竹中工務店の松隈章さん、山崎亮さん、永山祐子さん、ドットアーキテクツの家成さん、山本理顕さんで、より建築寄りのお話。

Togetter → http://togetter.com/li/162097 「#311sympo」

興味深すぎる話の連続で、どこまで咀嚼して飲み込んで消化できているかちょっと自信ないんだけど、それほど充実したシンポジウム。これほど多様な専門家が集まって話しをするっていうのは、眠っている脳細胞がそこからひっくり返されるように刺激される。
なによりも、この議論をまとめていく司会の藤村さんの手腕には恐れ入りました。

自分たちがよかれと思って(特に仕事として)やっていることが、実は元凶かもしれないということ。それは、コワイ。

山本理顕さんが主張するのが、「家族を単位とした住宅の供給」。これは著書『地域社会圏モデル』の頃から言われてきたことだけれど、3.11以降ますますその意味が重要度を増しているように思う。“家族”として、生活の営みを閉じることが、生きることにとって良いことだったかどうか。

考えれば考えるほど、コワイな、というのが正直な個人的感想。
もはや“家族”とは絶対的なものとして存在している。社会システム全体がそう設計されていて、ほんとうに何が悪いのか、ますます見えにくくなっている現状。

今のシステムが悪い、ということではない。時代に合わなくなった、というのが正しい。
戦後日本、かつては住宅の供給そのものがままならないという現実があった。それに対応するために、住宅を供給する単位を“家族(=世帯)”として、ボリューム感を把握し、予算化し、着工して供給した。だからこそ、人は近代的な生活を迅速に手に入れることが出来た。
住宅により家族のプライバシーを守り、行き着く先=究極のプライバシーが孤独死だった、という話はたとえ冗談めいて言われたとしても笑えない。

社会が変わっているのにシステムは変わっていないという現実。
デザインで世界は変わる。と、この問題を前にして言えるかどうか。ドラッガーの言葉を借りれば、なされるべきコトは何か。ということを、もっと直視しなくてはいけないのかもしれない。
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聴竹居

朝から京都方面へ向かいつつ、手前の山崎で電車を降りる。

前々から行きたいと思っていたものの、予約制だと聞いて億劫になっていた場所へ。後輩がすべて段取りしてくれて、楽ちん。竹中工務店が出版してる実測図集も手に入れて、準備万端。
聴竹居。設計した人、藤井厚二

丘陵地の中腹に建つその住宅は、1928年に実験住宅として建てられたもの(1930年に下閑室を増築)。当時はまだまだ珍しかった冷蔵庫、電気温水器、電気釜など最新鋭の家電を盛り込みながら、最初の“環境共生住宅”と呼ばれるほど風や温熱の環境に配慮された設計になってます。

この時代に、聴竹居はもっと工学的にみておくべきと思ったのも偶然ではなく。パッシブに環境を成業することを、また思い出させてもらったのでした。

思い切り良い材料を使って、当時日本にはなかった家電を導入した住宅はほんとにゼイタク。絶好のロケーションも手伝って、「縁側」と呼ばれる聴竹居どくとくの空間がほんとに気持ちいい。
デザインの密度、集中力も素晴らしく。6m1枚もののフローリング、木目をあえて斜めにつかった鴨居。木材は80年以上たっても全くゆがんでない。同じカタチした丸い天井の照明器具は、天井高の違いによって、ほんのわずかにサイズを変えてある。なんと、木製サッシを止めているマイナスビスは、その方向が全てそろえられていました。

ただまぁ、過剰かな、という印象もあり。タウトが褒めなかったというエピソードも納得感あります。

家電で目が飛び出るほどの電気代を使いながら、かたやパッシブな環境制御を目指す、というのは一見矛盾しているようにも思えて。クーラーという文明の利器が当時存在していたならば、藤井厚二はまた違った設計をしたのだろうかと興味もわいてきたり。
とにもかくにも、いろんな意味で上質なイイ空間。

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流し

ちょっと岡山まで流しそうめんしにいくよ、ということだけ聞いて。いろいろ詳しいことを聞いたのは、現場にむかう車の中、はじめましての人からだったのでした。

目的地は岡山県西粟倉村にある、森の学校。

無心で竹藪から竹を切り出して、汗ダクダクになりながらそうめん食べるのも、いいもので。無邪気なオトナがたくさん集まった日でした。
自作の流しそうめん。これぞ夏、って感じ。

西粟倉村は林業の村。
山の中にあるにも関わらず、豊かな水源を利用したマイクロ発電で電力を供給し、はやくから埋設ケーブルによるネットインフラを整え、村と企業が共同で株式会社を立ち上げて、特産品である杉を流通させるための商社機能を自前でもっちゃったっていう、なんとも面白い場所らしい。

ブナの原生林にも連れてってもらって、スイカかち割って食べて、珍しく(ほぼ)アルコールフリーな、さわやか土曜日。
ローカル地域のひとつの姿。
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省略

日曜日。
お便りもらったので、事前予約して中之島まで。

時間ぴったりに行ったのに、プログラムが変更になってたのか、なんと目当てだった水戸岡さんの講演は聴けず。それでも最後、喜多俊之さんとの対談は、きわどい発言もありつつなかなか楽しめました。
OSAKA DESIGN FORUM 2011、大阪芸大が主催してるフォーラム。

“出来る”という意志が何よりも重要。そういう話だったと思う。

当日配布された水戸岡さんの資料。
日付が入っているので、この講演のために用意されたものみたい。ものすごく丁寧にコトバを選んでいるのが伝わってくる。けれど、刺激的なコトバも並ぶ。「公僕であれ」なんて、まさに。

対談の中で、ポッと喜多さんが言った「ミラノは街が省略されていないんですね」という言葉に、なんだか心のフックが引っかかって。

“省略”というのは、「無駄を省く」という意味では良く聞こえる。コストダウンも、たいていの場合は何かを省略することとイコールで。その“何か”は、VE的な手法によって機能的に不必要もしくは優先順位が低いとされるものが該当する。
でもそれで、本当に不要なものだけが部分切除されることは、あまりない。その周囲まで一緒にバリッと引っぺがしてしまう。そしてそれを続けた結果、大事なことまで掌からこぼれ落ちてしまう。

話は変わってデザインフォーラム。
講演や対談だけじゃなく、クラシックのコンサートがあったりして、かなり力が入っているのはすごく伝わってくるイベント(コンテンツの善し悪し置いておいて)。運営は、ほとんど学生がやってるようで。この機会を通じて学ぶことはすごく多いと思う。
加えて、おそらく事前準備のほとんどと、当日の司会進行・音響・ビジュアル・ビデオ記録などなど、芸大の各コース学生が集まれば、ほとんど学内でまかなえるのっていうのが面白い。芸大が総力を結集すると、イベント運営ができました、みたいな。いや、芸大の目指すところがイベント運営なんかじゃないことは百も承知だけど、結果としてこういうことが内製化できているという現実は、なんか面白いなぁと思ったわけです。
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