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ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

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きっかけ

小さい頃。絵を描くのが好きで、レゴブロックが好きで。セロテープがあれば何でもつくれる気がしていました。
そんなボクが「デザイン」というもの意識し始めたきっかけ。

たしか、高校生の頃。なにか1つの衝撃的な出会いではなかったように思います。父親に連れられて行った近つ飛鳥博物館。(当時で言う)人間工学が駆使されたペンのグリップ。ある住宅の階段。山田照明のZライト。ステッドラーのシャープペンシル。キャノンデールのマウンテンバイク、などなど。

今でもまぁ、いろいろと記憶に残ってます。雑誌や本で見聞きしたものも多かったのだけど、これもまた、最も記憶に残っているモノのひとつ。社会人6年目の今年、ようやく自分の手元にやってきました。
ハミルトン ヴェンチュラ(クロノ)。 デザインした人、リチャード・アービブ。

世界で初めてエレクトリック・ムーブメントを乗せたとか。プレスリーが愛用したとか。いろんなウンチクがある時計ですが、それよりも。
時計って丸か四角でしょ。そんな思い込みをさらりと裏切る“変な”カタチ。それにワクワクする気持ち。ボクの、当時のデザイン観なんてそんなものだったんでしょう。でも、若造がカタチに対して興味を抱くには、十分すぎるインパクトでした。「アシンメトリー」なんていう言葉を憶えたのも、確かこれがきっかけだったような。

1957年に発表された時計です。アービブは、ミッドセンチュリーの時代に「インダストリアルデザインの鬼才」と呼ばれた人。インターネットのない当時、ボクなりのリサーチによってキャデラックのテールフィンのデザイナーがこの時計もデザインしたっていうことは知っていました。「口紅から機関車まで」よろしく、クルマから時計まで。おぉ、と。

でも、キャデラックのテールフィンが発表されたのは、ヴェンチュラの2年後だったというのは最近知った事実です。つまり、三角の形状としては、このヴェンチュラの方がオリジナルだった。これもまた衝撃的でした。

シンプル・ミニマル志向と思われがちなボクも、デコラティブでヘンテコなカタチが「デザイン」への入り口だったんですね。その気持ちは今も忘れてません。いや、これからもずっと忘れないように、今ココに、この時計があるのかもしれないです。
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そら、くも

たとえば梅田のスカイビル。たとえばOBPのクリスタルタワー。
ミラーガラスに身を包んだビル。そのガラスに映り込む空、雲を見ながらぼんやり考える。

ここに映っている雲や空は、どうやらボクの後ろ側にある空や雲らしい。
でもそれは、ボクの真正面の風景に、なんとなく馴染んでしまっている。映ってる雲は、ビルの端っこでスパッと切れてしまうのに、それがなぜか、違和感なく向こう側の雲に連続しているように感じてしまう。
神戸の街にて。

雲ってそういうモノなんだと。
輪郭があるようで、輪郭がない。ない、というか、気にしていない。存在だけがフワフワと浮いている感じ。姿ではなく、気配。、ぼんやりとした存在感だけがそこにあって、輪郭が感じられないもの。
そんな、雲のようなデザイン観について考えてみる。


と、ここでふと、ボクの大好きな詩。

くものある日
くもは かなしい

くもの ない日
そらは さびしい

(「雲」八木重吉)

ボクはこの詩の、2つ目の「くも」を「そら」だと勘違いしてました。そんな発見もありつつ。空を見えているとき、人の目はどこにもピントが合っていないらしい。そんなことも思い出しつつ。
雲の物理的な成り立ちや形状を真似るのではなく、雲のようなデザイン。公共のデザイン観ってそういうこと?について思考中。デザイン嗜好、試行、志向するのです。
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うみはく

ハードな週末の仕上げに、クルマで三重県、鳥羽まで。
地方に行けば必ず美味しい何か、があるはずで、今回はがっつり牡蠣を頂いてきました。海水の塩味そのままで食べる焼き牡蠣、サイコーです。これが目的のひとつ。

そしてもうひとつ、がコレ。
海の博物館。設計は、内藤廣建築設計事務所。構造はSDG。
バブルまっただ中のおおよそ20年前に建てられて、日本文化デザイン賞や建築学会賞なんかを受賞してます。

木造立体トラスの展示室と、プレキャストコンクリートの収蔵庫。そのどちらも、空間を大きく覆う屋根が印象的な建物。焼き板の外装と瓦屋根は、移転前の博物館が塩害に苦しんだという経緯を汲んだ結果。決してただの和風志向ではなく、極力金属を外部に使わない、という設計者の意思の現れでもある。さらに収蔵庫の床は、重要文化財である木製の船の乾燥防ぐ為に“土間”になってます。

さすがにすこしくたびれ感はあるけれど、海のすぐそばにあるわりには、20年たった今もそれほどひどく痛んでないのはスゴいことです。

低い位置の開口部の取り方と、そのサッシ、水切り周りの簡素でエッジなディティールが、古びれないデザインの一端を担ってます。とはいえ、今見てみるとディティールレスで、水仕舞い的にも結構危なっかしく見えるのだけどね。でも見たところ雨漏れもしてないので、大丈夫なんでしょう。

屋根が話題の中心になりがちだけど、ボクが何より良いなと思ったのはその配置計画でした。
敷地は海に向かって下ってるし、高低差もあるし、建物の規模からしてその配置はかなり難易度高いと思う。何気なくパラッと敷地内にちりばめられているようだけど、展示棟はそれぞれ敷地の段差に片足を乗せるように建てられていて、高低差がすごく上手に処理されてます。大きなスケールの建築なのに、それを強く感じさせない配置。

肝心の展示内容が古びれていて、そちらに博物館全体の印象が引きずられるのがちょっと残念かな。雑多でノンスケールな感じは、ある意味面白いんだけどね。整然としていないものを受け止めるのもまた、この建築のスゴいところかもしれません。
建築 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

合意形成のプロセス

大阪では、たった1週間っていうわずかなアンコール公開。お誘いを受けて、なんとか観ることが出来ました。

純然たるドキュメンタリーだっていうのは分かっていたので、連日の寝不足たたってもしかすると寝ちゃうかも…と思ったら、面白くって最後まできっちり楽しんでました。
これは良い映画、映像資料ですぞ。

オランダ、アムステルダム国立美術館の改装プロジェクトの裏側を捉えた秀作。
コンペによって選ばれた改装案が、市民の声によってストップし、プランが変わり、工事が止まり、入札に失敗して予算オーバー、工期がまた延期になる。そんな、まさにてんやわんやな状況がきっちりと捉えられていて、ハラハラしたりイライラしたり、ドキドキしたりウンウンと頷いたり。プロジェクトの規模は違えど、自分の置かれている状況と重なって見えたからかもしれない。

多くの人が関わるひとつのコトやモノをまとめていくための合意形成のプロセス。

これってとっても難しいのです。
全員が納得できるものをつくりたい。超絶的なバランス感覚とデザインスキルがあればそれが可能なのかもしれないけれど、そう、これってとっても難しいのです。
「誰もが悪くない」という判断を積み重ねたところで、出来上がるものは結局「誰も良いと思わない」だったりする。
映画の中で、建築家がぼそっとひとこと。民主主義の悪用だ、と。

そういう時は思い出すのです。「みんな言う。『個人的には好きだけど…。』その素直な気持ちに応えたい。」とは、深澤直人さんの言葉。
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as forest

金曜日の夜。
中之島公会堂にて、大光電機さん主催の藤本壮介さんの講演会。「武蔵野美術大学図書館を初めとする近作について」。タイミング的・場所的に、ユニクロの話が出てくるんじゃないかと思ってましたが、全く触れられず。

Nest or Cave. 
人の為に機能的につくられた“巣”としての建築と、まずそこに空間があって人が意味を見いだしていく“洞窟”としての建築と。

Architecture as Forest.
森としての建築。

「意味を発見する」というの言葉を、何回か聞いて。
“機能”は室や場所にに対して与えられるものと考えがちだけど、そもそも建物単位でも“ビルディングタイプ”という機能は与えられているもので。森と建築の決定的な違いはそこなんじゃないかと。
場所や室としての機能は発見できそう。では、建物そのものの機能を、人は、建築ではない何かに発見することができるのだろうか。森のような建築はできるけど、森としての建築は…。
講演会の主題から逸れて、そんなことを考えたり。

ムサビの図書館の、サイン計画の話が一番面白かったかも。サイン計画は佐藤卓さん、だそうです。
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中空

コップ3部作の最後。

割れちゃった無印良品の中空耐熱マグの代わりはやっぱり欲しくて、探して探して結局bodumしかないかなぁという結論に。
これからの季節、お鍋の時に火のそばに置いても、中身のビールがヌルくならないっていうのはとっても重要な機能で、それに変わるものナシ、と。
んで、買ったのはASSAMというモデルの0.25L。

散々迷ってたのは、bodumのグラスがちょっとデコラティブなカタチをしてるところ。意図的に“デザイン”しました、っていう主張を感じてしまって。もうすこし、さりげないカタチが良かったのだけど、思い切って、飲み口がグッと広がってるコレにしてみました。

熱々のミルクティー淹れる、なんていうステキな使い方もあるんだけど、ほとんどビール飲むのにしか使わなかった、というのが本当のところ。なので、ビールが一番美味しく見えるカタチをと思った結果がコレ。

買ってから気付いたのだけど、底の穴がシリコンで閉じてあります。空気圧の調整の為かなと思うのだけど、どうやら接着しているようなので、剥がれてしまわないか心配です。
もうひとつ。無印良品のソレと違って、底のカタチが内―外同じラインを描いているのでな、中身の浮遊感はちょっと薄いかなぁ。

まぁ何はともあれ、今年の冬も、美味しく過ごすコトが出来そうです。
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グルチッチ

コップで思い出して、ゴソゴソしていたらあったあった。

何年も前の誕生日に、プレゼントとして頂いたグラス。(なんだか頂いてばっかり。)大好きなデザインだったんだけど、廃盤になったと聞いてからは大事に仕舞っておいたのでした。

これも、コップっぽいフォルム。
iittala"Grcic" タンブラー。 デザインした人、コンスタンチン・グルチッチ

外側は、ぜんぶ真っ直ぐな線。
内側に厚みが付けられていて、そこがスタッキングした時の“引っかかり”になるようにデザインされてます。奥まで押し込んじゃって抜けない、なんてコトが無いように。隠れた機能のデザイン。

そしてなぜか、普通では考えられないぐらいに、底が分厚い。

このタンブラーは、「スタッキングの引っかかりを内側にもってくる」っていうトリッキーなアイデアが注目されがちだけど、実はこの分厚い底の“分量”が、美しさの重要なポイントだと思ってます。“ひっかかり”のために、内側に厚みをつけることで、当然その部分のガラスの色は濃く見える。そのグラデーションを最後、底の部分できれいに受け止めるために、これだけのコンポジションが必要だったのだと。光に透かしてみると、よりいっそうそれがよくわかる。
だから、クリアもあったのだけど、色付きのグレーの方が、断然このタンブラーの良いところを引き出してると思うんです。

アイデアと、美意識と。コンセプトと、意匠と。結果的に生まれた厚みのおかげでずいぶん重いんだけど、それがこのタンブラーのキャラクターになってる。これからもずっと、大事にします。
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コップ

つい先日、ものすごく気に入って使っていた無印良品の中空耐熱グラスが2つとも割れてしまいました。ショック。

無印良品での再販はないみたいなので、似たようなのを探してます。bodumのダブルウォールグラスが候補なんだけど、“内側の輪郭”がいまいち素直じゃなくって、躊躇してるところ。

なので近頃、家ビールするときは、もっぱらこれで。
夏に友達にもらったサッポロビールのコップ。

「グラス」、じゃなく「コップ」って呼ぶのが似合います。その“呼び名”の境目もちょっと深く考えてみる必要ありそう。サイズ感かな。
円錐を途中で切ったフォルムはもう、なにか飲み物を入れるための、すごく素直なカタチをしていると思います。スタッキングも可能。

金色の縁取りと、赤い星マークがステキ。
居酒屋さんのビールジョッキも同じようなサッポロ星マークが入ってるんだけど、最近のは、どうも星マークが黄色い。なので、結構古いものなんじゃないかと推測。

瓶ビールが、似合います。ウチは、相変わらず缶ビールですけども。
休日の仕事は、イマイチやる気ナッシングです。
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