ハードな週末の仕上げに、クルマで三重県、鳥羽まで。
地方に行けば必ず美味しい何か、があるはずで、今回はがっつり牡蠣を頂いてきました。海水の塩味そのままで食べる焼き牡蠣、サイコーです。これが目的のひとつ。
そしてもうひとつ、がコレ。
海の博物館。設計は、内藤廣建築設計事務所。構造はSDG。
バブルまっただ中のおおよそ20年前に建てられて、日本文化デザイン賞や建築学会賞なんかを受賞してます。
木造立体トラスの展示室と、プレキャストコンクリートの収蔵庫。そのどちらも、空間を大きく覆う屋根が印象的な建物。焼き板の外装と瓦屋根は、移転前の博物館が塩害に苦しんだという経緯を汲んだ結果。決してただの和風志向ではなく、極力金属を外部に使わない、という設計者の意思の現れでもある。さらに収蔵庫の床は、重要文化財である木製の船の乾燥防ぐ為に“土間”になってます。
さすがにすこしくたびれ感はあるけれど、海のすぐそばにあるわりには、20年たった今もそれほどひどく痛んでないのはスゴいことです。
低い位置の開口部の取り方と、そのサッシ、水切り周りの簡素でエッジなディティールが、古びれないデザインの一端を担ってます。とはいえ、今見てみるとディティールレスで、水仕舞い的にも結構危なっかしく見えるのだけどね。でも見たところ雨漏れもしてないので、大丈夫なんでしょう。
屋根が話題の中心になりがちだけど、ボクが何より良いなと思ったのはその配置計画でした。
敷地は海に向かって下ってるし、高低差もあるし、建物の規模からしてその配置はかなり難易度高いと思う。何気なくパラッと敷地内にちりばめられているようだけど、展示棟はそれぞれ敷地の段差に片足を乗せるように建てられていて、高低差がすごく上手に処理されてます。大きなスケールの建築なのに、それを強く感じさせない配置。
肝心の展示内容が古びれていて、そちらに博物館全体の印象が引きずられるのがちょっと残念かな。雑多でノンスケールな感じは、ある意味面白いんだけどね。整然としていないものを受け止めるのもまた、この建築のスゴいところかもしれません。