HASH BLOG

ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

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再アート瀬戸内

前回、すべての回りきらなかったのは、正解だったのかもしれない。
まとまった時間を確保することが出来たので、もういちど瀬戸内国際芸術祭に行ってきて。そう、思ったのでした。

夏は突然居なくなってしまって、連日気温35度を超していた前回とは打って変わって過ごしやすい気候。日が落ちると少し肌寒いくらい。瀬戸内の景色も、燦々とした感じから、すこし落ち着いたように変わって見えるのが不思議。環境と感情は、やっぱり密接に関係してるんだね。
直島行きのフェリー。

今回はおとなしく、電車とバスを乗り継いで。
岡山の宇野港からフェリーに乗って、男木島、高松、直島、豊島と巡ってきました。そう、男木島で火事がある、そのちょうど3日前に、あの現場にいたのでした。

直島はものすごいヒト。
油断して出遅れた2日目、昼前に上陸したら、地中美術館への整理券はすでに配布終了してしまっていました。
李禹煥美術館。の前、海への景色。

今回は直島に行ったおかげもあってか、割と人の手のはいった風景が印象に残っていて。
とくにこの景色は、ユルく起伏が残してあってて、でも海に向かって景色が開いていくのではなく、木々が水平線に向かってグッと迫ってくる感じが、独特の領域感を生み出していてステキでした。

安藤建築は、相変わらずのストイックさ。砂利なんか全部凝結剤で固めてあるんだもの。
地中美術館は、実は初めて行って。あれほどまでに緊張感のある空間は、久しぶり。ちょっと吐き気がするぐらいの緊迫感は、建築自体も作品ですという説明にも納得。こういう建築の在り方、ちょっと忘れていたかも。
島キッチン。

豊島は豊かな自然。作品も良質でした。
島キッチンではビール飲んで、のーんびり。仮設の構造体に、杉の焼き板を並べてシェルターをつくってあるんだけど、その領域の作り方がとてもうまくて居心地が良い。

たくさんの人が来て、にぎわっていて。イベントとしての芸術祭は、大成功しているんじゃないかと思う。でも、島の人たちは本音ベースでどう思っているんだろう。経済的な観点はちょっと横において、日常生活の中にこれだけ非日常が入り込んでくることについて。
実は、“見る側”“訪れる側”に、高度なモラルと良識が求められる芸術祭なんだと、そういう感想。

これだけくると、並んでいる間にスタッフに怒鳴る人も居るし、トイレの少なさに文句言う人も居るし、休憩できるカフェがない!とか愚痴っている人もいる。それを許容できる心の準備が必要です。あと、ちょっとした想像力と。普段の島の生活では、余計なトイレも喫茶店も必要ないし、行列ができることなんてないんですよね。
そういう気持ちも、“島時間”に合わせられたとき、本当に楽しめるようになるんじゃないかと思ったり。もうちょっと色々考えたいな。
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言葉と音

うちのHDDレコーダーが故障中なので、最近めっきり見たいテレビ番組が見られなくなって。この番組もそう。Part1は見事に見過ごしちゃった。
でも、Part2はなんとか。

ゲストはサカナクションの山口一郎さん

基本的にはホストの佐野元春さんとゲストの対談という形式ですすんでいくのだけど、それが実は学生に対する“講義”という体裁をなしているのが面白い番組。
今回は特に、ワークショップ形式ですすむ。

サカナクションの楽曲は、いろんな音が実験的に重なる音そのそもにもインパクトがあるけれど、山口さんが紡ぐ歌詞にもかなり特徴がある。ある人はそれを文学的だと表現するけれど、なんというか、日常に潜む非日常的な“フック”がたくさん仕掛けれてます。
なので番組は、歌詞に重点的な内容。

言葉の意味、無意味さ。一見無関係な言葉が郡になった時に表れるストーリー性。言葉が音楽に乗ることによって見える多義性、意味深さ。そして誤解。

佐野元春さんって、もっとハチャメチャな人だと思ってたら、とても印象的に、深く何回も相槌を打ちながらゲストの話を聞いていて。時折ものすごい瞬間的な判断をもって進行していくその姿に、なんだか感化されてしまいました。

こういうテレビ番組が、ボクが学生だった頃にもあったら良かったな。
映像 | permalink | comments(3) | trackbacks(0)

開口部

富山大学であった学会のついでに金沢に寄り道。

時間も遅かったので、行ったのは21世紀美術館だけ。ちょうど、展示の入れ替え作業をしていて、まぁ展示はほとんど見られなかったのだけど、ちょっと面白い光景に出会い。

各展示室の開口部はとても小さくて、まさに“部屋の入り口”。そこにどうやっておおきな作品を入れるのだろうと前々から疑問だったんだけど、こういうカラクリになっていたのでした。
入り口に、大きな扉。

小さな開口部を隠すように大きなカバーがついていて、その内側にまた大きなスライドドアが仕込まれていたのでした。

建築の性格を維持する為に、こういう、経済的に見ると一見"ムダ”なこともする。それが建築であり、生活であり、そしてまた僕たちの価値観や美意識や豊かさなんだな。

それをアンビルトな状態で共有するのがまた、むずかしい。
建築 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

9.11

当時のボクはまだ学生で。


その夜は、確か設計課題のエスキスのリミットに追われて家でスタディ模型をつくってた。真夜中過ぎて明け方近く、煮詰まって同期と電話しながらあーでもない、こーでもないとやり合ってたんだっけ。


電話をしながらフトつけっぱなしのテレビを見ると、映画のワンシーンのようだけど、でも確かにニュースとしての映像が流れている。電話越しに、「これ、実際に起こってることよね?」と確認。何かがそこで、実際に起こっている。なのにあれほどまでに現実味の無い映像体験というのは後にも先にもない。それが、自分と連続する世界で起こっていることだとは、イメージすることもできなかった。

そしてその半年後、ボクはニューヨークを訪れたんだった。たくさんの建築を見に。

持っていったのはGR-1s。50本超のフジのカラーフィルムと、ILFORDのモノクロフィルム。


メトロを初めとした都市機能はまだ完全には復旧されてなくて、道路も部分的に閉鎖。おかげで手持ちの地図はゆがんでしまった。街路樹にはまだグシャグシャになったブラインドがぶら下がってた。


グラウンド・ゼロ。

定時になるとやってくるバグパイプ隊。その悲哀と追悼の念に満ちた音色は鮮明に憶えてる。カメラに入ってたカラーフィルムを途中で巻き上げて、モノクロフィルムに入れ替えた。


ボクにとっての9.11。

あのとき電話で話していた同期から、子供が生まれたよ、との報告。

アレ以降、世界は大きく変わった(と、聞く)。でも、変わらないものもあるし、時は時として流れている。そんな、今日、あれから9回目の9月11日。

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弱い絆

アンビエント・アウェアネス。
という言葉を最近耳にするようになった。で、気になっている。

TwitterやSNSのようなマイクロブログを通じて発信される“相手のいない発言”。それを受け手が勝手に受け、積み重ねることで、何となくその人の行動や生活のリズムや抱いている感情なんかが把握できるようになる。それが狭義。
Ambient Awareness:周囲の雰囲気や情報を捉えられる能力・状態

雑誌『クーリエ・ジャポン』で特集が組まれていたのだけど、その記事の言葉を借りると、それは「弱い絆」。その感覚がとても面白い。

個人的に、この言葉のとっかかりがネットでのコミュニケーションの話題からだったので、逆に、この概念は実世界にも十分存在してるなぁと思ったのです。弱い絆。言い換えればそれは「空気を読む」的なことに近しい、と。

実世界では、“他者”の枠をもう少し拡大して解釈する。知人・友人だけでなく、行き交う人や居合わせた人、その空間までを含めた“他者”。僕たちはアンビエントな要素、つまり自分以外の自分を取り巻く環境を、常にアウェア=気付いたり察したりしている。そしてその気づきや察しが、次の自分の振る舞いに知らず知らずの内に反映されている。

ごく当たり前のことだけど、なんとなく当てはまる言葉が見つかると、思考が活発化する。
ふつうはノンバーバルなやり取りであるはずのコミュニケーションが、ネット世界では完全に文字情報化された上で共有される。その違いもまた、面白い。ネット世界と実世界の居場所構築の方法論が、少しずつ同じ道を歩み始めてるんじゃないか。
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30

もうとっくに過ぎ去っちゃいましたが、一応ログとして残しとこうと思いまして。
つい1週間ほど前に今年の誕生日を迎え、30歳になりました。
8月23日より、30代で過ごしております。

節目、と思ってはいたものの、特にスペシャルな出来事もなく。熱帯夜にひとり、感慨深く思いに耽っておりました。なんて書きたかったのだけど、感慨深いと言えるほどの“節目感”もなかった、というのが実際のところ。

どんなオトナになっていくんだろうね。これから楽しみです。

ちなみに、ボクはいろんな人から“お酒大好きな人”と思われているらしく。
お祝いにワインをたくさん頂きました。

ありがとう。素直に嬉しいです。でもそんなに飲んべぇなイメージなのか、と、そこはちょっと考えざるをえないところ。
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