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ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

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ネイチャーセンス

もちろん森美術館にも行きまして。「ネイチャーセンス」展もしっかり見てきました。森美術館へ行くのは2年ぶりぐらいか。

英語の副題は「sensing nature」だったりします。このニュアンスの違いは、ちょっとわかりにくいなぁ。『デザインのデザイン』の時ほど明確じゃない気がする。センスとセンシングでは、受け手が違うんじゃないか、と。ネイチャー・センス。センシング・ネイチャー。もしくはセンス・オブ・ネイチャーじゃだめなのか、とか。

吉岡徳仁さん、篠田太郎さん、栗林隆さんの3人が出展しています。それぞれにセンシングの仕方も違えば、センサーのスペックも違うし、ネイチャーの定義も違う。

デジタル化や情報化が進んで、ますますモノの形がなくなったとき、残るのは“感覚”のようなもの。という吉岡さんのお話。作品としては過去見たことあるものが多かった印象だけど、音声ガイドの解説や対談は聞く価値大だと思います。

写真の篠田太郎さんの作品も良かった。だけど、展覧会とはちょっと違うところで、個人的に一番ハッとしたのは栗林隆さんの作品で。
「境界」をテーマにしたその作品と、女木島のベネッセハウスで見た、石川直樹さんの「スカイ・ザ・バスハウス」という作品。両方の視点の類似性が非常に面白かったのです。もはや近似、と言ってもいいぐらい。探検家とアーティスト。東京のど真ん中の高層ビルの上と、瀬戸内海の小さな島。表現は違えど視点は同じ。それもまた実際に起こっているコト。
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属性

東京に行ったついでに、行きそびれていた21_21へも行ったのでした。
混んでるというウワサと、じっくり鑑賞時間のかかる“装置”が多いって情報を入手していたので、平日を、しかも夕方の浅い時間を狙って。

それでも並んだけど。(以下、若干ネタバレ的な感想になります)
“これも自分と認めざるをえない”展。 佐藤雅彦さんがディレクション。

「属性」というテーマが展覧会を終止貫いてる、ちょっと変わった展覧会。この展覧会では、「属性」が、“自らの特徴”であることと同時に、“否定されると存在し得なくなるもの”として扱われてる。

属性って、まぁいわばアイデンティティの集積のようなもので。自分を自分たらしめている客観的事実、ということになるんだろう。この、客観的、というのが意外とクセモノ。客観的であるということは、実は非常に難しい。なぜならそれは、“自分を外側から見る行為”だからです。意識的にやらなければ、客観的になんてなれない。
逆に一度客観的に表出した自分は、まるでそれは自分でないのだけれど、妙にいとおしく感じたりするから、不思議。

人は、敢えてそれ(=客観視)をしないように出来ている。と、捉えることもできる。属性なんて気にせず生きよ。そう、言われているような気もします。
でも社会はそれを許さない。中身であるヒトの意識外で属性だけが一人歩きしてしまう。その怖さを感じました。特に、自分という人間が社会から常時スキャニングされるような状態。実は社会が着々とその方向に向かっていること、技術的にもそれが出来るようになってきていること、と。


最後に、「“これも自分と認めざるをえない” 展 の見方」を佐藤雅彦さんのブログから引用します。作品は、非常に科学的なアプローチで表現されてるもんだから、果たしてコレはアートだろうか、とか。見ている時は、美術館っていうより博物館に近い。なんて思ってたんだけど。
見終わって1週間経って。この展覧会のタイトルが当初「“これもまさしく自分である”展」だったという話も聞いて。じんわりと思い返すと、あれは紛れも無くアートだったんだなぁという感想。それが、このエントリーを読んですんなり理解できたのです。

(以下引用)
「“これも自分と認めざるをえない” 展 の見方」
…… 正直、とても楽しいし面白い体験がたくさんできます。しかし、私がみなさんにやってほしいのは、楽しむだけでなく、その作品を体験することで得られる「新しい表象(気持ち)」をじっと静かに鑑賞し、それがなぜ自分に起こったのか、それはどういう意味を持つのかを考えてもらうということなのです。 ……
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江戸東京

最初のきっかけは、国立九州博物館のミュージアムグッズ。その後もことあるごとに“ご当地手ぬぐい”を買い集めてます。最近はあんまりここに登場してないけど。

日本手ぬぐいは、ほぼ350mm×900mmという同じサイズでできてます。その中に表現されるものが場所ごとに違って、それでいてすべて実用的っていう素晴らしいグッズ。今回もまた、なかなかのお気に入りの柄が手に入りました。
今回は、江戸東京博物館にて。かまわぬ謹製。

こんな博物館もあったなぁと、両国の近くに来てふと思い出したので立ち寄った江戸東京博物館。しかしまぁすごいネーミング。エド・トーキョーだなんて。

館内のミュージアムショップには「手ぬぐいコーナー」なるものがあって、たくさんの手ぬぐいを売ってました。たぶん展示の内容から、海外からの来訪も多いと思うので、お土産にはちょうどいいですね。
オリジナルの柄も充実していて、10種類以上ありました。

ちなみに建物はこんな感じで、ぶっとんでます。
設計した人、菊竹清訓さん。

地上7階、地下1階。写真で見て取れるように、4本の“脚”が超超巨大なボリュームを持ち上げてる。巨大なスカイハウスみたい。
メンテの問題やビル風の問題や、いろいろ難点はあるみたい。けれどまぁ、とにかくものすごい迫力はある。これは、何ものにも代え難い。
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アートせとうち

短い短い夏休みは、1年半ぶりのバイクにまたがって瀬戸内まで行こうと。
瀬戸内国際芸術祭へ行こうと。

大阪南港からさんふらわあに乗って小豆島へ。作品をたくさんみて、オリーブサイダー飲んで、そうめん食べて。小豆島から高松に渡り、そのまま丸亀へ。猪熊源一郎現代美術館の夜間開館を堪能して、一鶴でひなどりとビール。で、1日が終了。

2日目はまた高松に戻って、バイクを港に置いてフェリーで女木島へ。ぐるりめぐった後、またフェリーで男木島へ。男木島を駆け足でめぐって、女木島へカムバック。ぼんやり夕陽に包まれた後は、夜のこもれびプロジェクトで星を捕まえる。

3日目は高松で朝から釜バターうどん食べて。香川県庁舎を4回めの訪問で初めて中まで見ることが出来ました。椿昇さんのPROMを見学してから、早めに香川を出発。ジャンボフェリーで三宮へ渡って帰ってきました。
今回、一番印象的だった女木島の展望台からみた風景。

はっきりくっきりした夏っぽい風景ではなく、なんとなくモヤがかったような、曖昧性のある風景。コントラストは低めで、全体的にブルーで、やさしい風景。

全身汗だくになりながらアートを巡る体験というのも、なかなか良いものだなぁと再認識。ただし、この季節、本気で本気で汗だく、だくだくになりますけどね。でも、一度はこの暑い季節を経験するのはすごくイイことだと思った。まさに、体験が“身に成る”感覚。

アートと自然。アートと島、せとうち。一見なんの関連性もないもの同士が同居する(良い意味での)居心地の悪さと、サイトスペシフィックな作品群は、ヒトの感覚を研ぎすまさせてくれる気がする。
小豆島の棚田。

気になるのは作品そのものなのか、それとも周囲との関係性なのか。撮った写真を見てみると、“引いて”撮った写真と、作品にフォーカスした写真とが結構はっきり分かれていて、その時ははっきり認識していなかったのだけど、写真には正直でした。
小豆島は、引きの写真がやたらと多かった。

島の環境でいうと、男木島が圧倒的に面白い。
フェリーから、男木島。

一般車両の上陸がNGなほど小さな島。港から駆け上がるように集落が丘に張り付いていて、いろんな路地や、坂道、魅力的な環境が形成されてる。街区の成り立ちが、なんとなくイメージできるぐらい。簡単に“魅力的な環境”だなんて、言ってはいけないことは分かってるけど、それでも言いたい。
当然、小豆島や女木島とははっきりと性格が異なっていて、そこに置かれる作品も、他の島とは違う。

時間切れで男木島も最後まで見れなかったし、一番行きたかった豊島はまだ手つかず。それでも時間ギリギリまで粘ることなく、さわやかに、後ろ髪惹かれることなく充実して帰って来れたのは、フェリーの時間やバスの時間や、自分ではコントロールしきれない、個人の効率だけでは成立しない状況があって、それを受け入れることが出来たからだと思う。
でもって、また来ればいい、当然また来るでしょ、と感じ取ったんだと思う。

作品のことは、会期が終わる頃に書ければいいかな。
そこに行かなきゃ絶対に分からないもの。それがありました。
すでに次の日程を考え始めてます。

回り方のコツや、現地情報などは追って。もしくはつぶやきにて。
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川くだり

夏休み企画、ということで。

でも夏休みではなく、ただの日曜日。朝からクルマで向かったのは徳島県の吉野川上流。目指すは大歩危峡。わいわいと、ラフティングをしにいったのでした。
ガイドさんの黄色いカヤック。
僕の乗り込んだラフト(ゴムボート)は、きれいなライトブルーでした。

なんとも夏っぽい晴れ空の下、ひんやり冷たい川の水に揉まれながら、約10キロの川下り。途中で岩山に上ったり、そこから激流めがけて飛び込んだり。口から鼻からおいしい空気やら、吉野川の水やらを思いっきり吸い込んできました。

思ってたよりずっと激しくて、瀬を通る時にはものすごい集中。いわゆる“必死”なこの感じ、いつもの生活ではなかなかない。ふだん使わない身体と脳みその部分が、一気に活性化した気分です。

激しい瀬でボートが思いきりよく転覆するハプニングもまた、夏のおもひで。
フィジカルな体験って最近ご無沙汰だったので、よいリフレッシュになったのでした。
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アフォード

コンビニから出てふと横を見る。
風にあおられながらも絶妙にバランスをとって、あり得ない場所に置かれてるジュースの抜け殻を発見。
Doleのオレンジジュースの抜け殻が、フェンスの支柱の上に。

アフォーダンス。モノがアフォードする。
一昔前ならすぐこんな言葉が出てきたのだろうけど、今やあんまり聞かなくなりました。いや、あえて言わなくても良いぐらい、浸透したってことでしょうか。

アフォーダンスは“刺激”ではない。とは、よく大学の先生に言われてものでした。ものの“価値”なんだと。
ヒトとモノとが、インタラクティブな関係を築く時に、両者の間で交換されるもの。それは“価値”なのだ。もう一歩踏み込んで、“可能性=ポテンシャル”だと考えてみると、それはそれでまたいろんなことが出来そうな予感がしてるのです。

暑さで脳みそがとろけてる、8月4日、水曜日です。
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タイフェス

かんかん照り、な、日曜のお昼。ちょうど12時。
かすかに海の匂い。屋台からはスパイスの匂い。ステージからは、民族音楽。
タイフェスティバル 大阪

初めて行ってきました。
暑いのなんの、会場ついたら真っ先にシンハービールのブースを探してました。
想像以上にたくさんの人がいて、想像以上に屋台が充実していて、ステージのムエタイも楽しく。そしてなによりタイは、暑い夏がよく似合う。
一国のイベントとしてこれほど盛り上がることって、ほかにはあんまり思い浮かばない。

ATCって、ふだんは閑散としていて、ハコモノ政策の失敗とかまぁ散々な場所なわけだけど、
でもこういうイベントの時には、ものすごいポテンシャルを発揮するなぁと、改めて。
ほら、こんな、屋台の後ろに海が透けて見えるシチュエーション、そうそう無いでしょ。風景として面白い。水辺の風景は、面白い。
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どこにあるの?

あっつい、あっつい、7月最終日は東京にいました。

前日はかわいい後輩2人と桜丘カフェにて、コンセプトが定まらない会合を。銀座に泊まって次の日はさぁ展覧会をハシゴだ、と思って最初に行った近代美術館。結局そこに夕方までいることになるとは。
「建築はどこにあるの?」展にて、中村竜二さんの作品「トウモロコシ畑」。

展覧会自体はどうなんでしょう。全体として、これで良かったのかどうか。中村竜二さんや内藤廣さんの作品は、1分の1スケールの、インディペンドデントなアートとして“機能”(作用?)していてとても良かったのだけど、スケール感の違うものがフッと差し込まれた瞬間に、あぁこれはアート展なのかなんなのか…と、気持ちが迷路に入ってしまうようでした。
内藤廣さんの「赤縞」。

いろんなミラクルが重なって、展覧会のあとそのまま内藤廣さんの講演会を聴くことに。
そこでこの“迷路感”がズバっと表現されることに。

「この展覧会は、“建築”はどこにあるの?であって、“建築家”はどこにいるの?ではない」と。
建築家が建築以外の作品を語る。それを直接聞くことがボク自身あまり経験がないので、とても新鮮でした。静かな語り口で語られる、美しさとかなしさについて。この話はまだ消化できていません。

時間というものについても、非常に興味深い考察。
資本主義社会においては、モノがカネに変わるその瞬間に、最大限のパフォーマンスが発揮されるような仕組みでモノがつくられている、と。だからその空間で生み出される“時間”に対する議論はされてこなかった。
空間に最大のプライオリティを置くことに翳りがでてきたこの時代。これまで抜け落ちてきた時間価値の問題をまたするべきではないか、というのには、とても腑に落ちるものがありました。

東京でのミラクルに、そして友人に感謝。
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