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ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

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宇宙船とエンボス

 仙台へは毎年恒例の建築学会のために行ってました。利休と閣で牛タン2回食べたし、塩釜でお寿司も食べたし、ずんだも買って帰ってきたし。学会がすっかり飛んでしまっておりますが。

いくつか建物にも。
泉パークタウンは、どうやら三菱地所さんが単独で開発したニュータウン。整然としていて、ミドリが多くて、ゴルフ場とかアウトレットモールとかあったり。なんだか街としては若干オーバースケール感があっただけど。そんな街の図書館はこんな感じでした。
宮城県図書館。設計した人、原広司+アトリエ・ファイ建築研究所。

メインの閲覧室にはいっさい柱がなく、奥行きはなんと200m近くもああります。壁はクルッとしているし、天井はところどころ膨らんでいるし。なんじゃこりゃ、というのが第一印象。特に天井のふくらみは、形態の単なる操作なんだけど、奥行き感や連続感を意図的に崩しているような。
一方図書館の計画といえば変則的なプランニングはいっさい感じられず、ひたすらパラレルに繰り返す書棚と閲覧テーブル。
空間のもつ変則性と、内部機能の規則性。2つの対比が面白くて、いままでにちょっとない感じです。

外観は暗くて撮れず。京都駅と同時期に設計が進められていたようで、意匠的には結構似たところを発見できます。
周囲はたくさんの緑に囲まれた丘陵地。その不思議な外観によってカムフラージュされてはいるけれど、かなり地形に配慮した計画になってます。そんな不思議な図書館が、けっこうたくさんの人に使われていて微笑ましかったのです。
アートディレクターは北川フラム氏。ジョゼ・デ・ギマランイスさんのサインが、カワイイです。


印象的だったもう1つも、丘陵地に建ってました。
こちらは彫刻8点だけを展示する、ちいさな、ちいさな美術館。
菅野美術館。設計した人、阿部仁史アトリエ

内部も撮影させてもらったんですけど、掲載NGとのことで外観のみ。
エンボス加工されたコールテン鋼に覆われた直方体。ところどころに鋭い開口部。でも、街を見下ろす1ヶ所をのぞいてはすべてフロストガラスで、中をうかがい知ることはできません。

外観からは想像もできないほど、内部はとってもとっても複雑です。たくさんの泡が集合した一部を無作為に切り取ってきて、平面で再構成したような壁の配置。ほとんどの壁が斜め、室のつながる開口も斜め。床だけは水平ですけど。

真っ白なインテリアなんだけど、構造である内壁にも外壁と同じエンボス加工がされてます。これが視覚的に不思議な効果を生む。
すべてが同じ密度のエンボスだから、当然のことながら手前にある壁は遠近法で模様が大きく、遠くにある壁は模様が小さく見える。視野内には複雑に壁のエッジが配置されるので、それだけで奥行き感が強調されるような感じがある。だけどさらに、壁がそれぞれ斜めだから、エンボス部の陰影が違って、サーフェスの"肌理”の持つ情報量が、非常にリッチ。

じゃあそれが中に展示されてる美術品とどう関わり合っているのか、というと難しいですけど、この建物は、これ単独でまた内部空間を持つ彫刻として扱われてる気がします。

難しいこと書こうとすると余計チープになっちゃいますね。とりあえず遠くまで行った介ありました。寿司も美味しかったし。
建築 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

せんだい

仙台にきております。
メディアテークにて。

キレイで透明でフラットなメディアテークも、2001年の開館から8年が立って、だいぶこなれてきていました。使っている市民の方、相変わらず結構いるようで。いい感じです。

あとはどうメンテナンスしていくか、でしょうか。結構汚れたりはしてますからね。建築としての正念場はこれから。

気候はいいし、牛タンは旨いし。iPhoneのおかげで知らない土地でもサクサクです。仙台、素晴らしいですなぁ。
日記 | permalink | comments(3) | trackbacks(0)

モンバス

何回目だかの誕生日は、朝早くからバスに乗ってお出かけ。
今年初参戦のフェスは香川にて。
国営讃岐まんのう公園の芝生広場、とビール。

大きすぎず、小さすぎず。横並びの2つのステージと、一面芝生のきれいな公園。まわりにはたくさん小高い丘があって、みんな思い思いにシート敷いたりパラソル立てたり。

燦々と降り注ぐ太陽光、そよぐ風、響く音の振動。
なんとも気持ちのよい、風景と出来事。

なんとびっくり家族連れが多くってですねぇ。これもまた讃岐の土地柄でしょうか。
みんな優しいし。知らない人も、うちのシートで勝手に寝ていいよーとか言ってくれたり。郊外型フェス、素晴らしい。
時間も場所も、“思い思い”っていうコトバがぴったり。でもちゃんとパブリックな空間として成立していて。目的がちゃんと共有できているからかもしれないけれど、ココ最近なかった嬉しい空間と時間。

とってもピースフルなフェスなのでした。
来年は北海道行くかな、行けるかな。
音楽 | permalink | comments(3) | trackbacks(0)

イエ型

 そういえば、写真をパラパラと振り返って。
岡山の後楽園にあった「流店」って呼ばれる、簡素な東屋の中心に水路を通した休憩所が素晴らしかったのだけど、それよりも実は気になっていた風景。
テントの骨組みと、すだれで見事な"家型”。

最近にわかに建築業界で流行ってた“家型”ですけど、まさかこんなところでね。
MVRDV的で、なんかカワイかったのです。

まぁつくってる方は全く意識してないんでしょうけどねぇ。テントのフレームも、かこってしまえばまさに“家型”だっていう、それはそれは目から鱗、な発見。
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つかう時代

 大学の恩師のレクチャーを聴きに、アートエリアB1まで。

ランドスケープカフェ「都市の居方と出来事の風景」

「つくる時代」から、「つかう時代」へ。
人が住まうための、ある程度の機能性が揃ってしまった今、もっと快適に、もっと機能的に、を追い求めてハコや環境をつくり続けるのではなく、いま現にそこにある都市という存在を、もっと“使い倒す”ことを考えるべきではないか。

古くは2chのマトリックスオフから、最近のImprov Everywhereやフラッシュモブ、お台場のガンダムまで。そういう旬なタイミングで起こっている色々な出来事を紹介しながら、“上手く使う”とはどういうことか、とか。なぜこんなコトが起こり始めたのかとか。ごにょごにょおしゃべり会。

工場萌えや農業回帰を引き合いに出しながら。都市という場所を脱してしまった今だからこそ、都市の面白さを改めて発見することができるっていう花村さんの指摘は、非常に示唆的だなぁと思いました。

フラッシュモブの動きなんかをリアルタイムで見てきたボクとしては、なんとなく頭の隅に追いやってよく考えてなかったことをムクムクと刺激されて、いい感じにアドレナリンが出まくり。
出来事をデザインする。簡単なようでとっても難しいのです。そしてそれを、誰がやるか。

その後、あちゃこ師匠のお店で深夜まで。
初めましての人も、お久しぶりの人も。いろんな刺激を。

最近じゃぁいろんなところで真似されてるImprov Everywhere活動は、とっても面白いので一度見てみる価値ありですよー。合法的かつユーモラスないたずらのオンパレードなんで。
日記 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

ディア・ドクター

こちらではそろそろ上映が終わっちゃうって感じだったので、ひとりふらり映画館。
エヴァのポスターに後ろ髪引かれながら。
ディア・ドクター』 撮った監督、西川美和

2つのウソ。が紡ぎだすストーリー。

この上ない喜びと、この上ない辛さ。自己防衛意識と、他人への愛情みたいなもの。絶対に混ざり合うことのない2つの背反事象が隣り合う悲しみ。
そんな、微妙な心の隙を突かれる映画でした。

真っ黒バックに白い文字が流れるだけのシンプルなエンドロールを、最後まで見送って。余韻に浸りながら、こうやってエンドロールをじっと見送るのは久しぶり。

西川監督は、自ら原作を書いて脚本も書いて監督として映像化もする。一気通貫の意思の強さ。『ゆれる』のときと同じ、ちょっと居心地悪くて気怠い余韻、でもしっかりと何かを見つめ訴える映画。良い映画でした。
映像 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

EVA輸送車

最近真夜中に、テレビシリーズをびっしり再放送しているのを追いかけて見てます。
こないだエヴァのことを知らない後輩を見つけてショックでした。

ふとコンビニで見つけたのを買ったら、箱の中にコレが。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 チョロQ BOX “EVA専用輸送車”

小さなラムネぐらい入ってるのかと思ってたら、がっちりコレしか入ってませんでした。
初号機の輸送車、のチョロQ。ふと気付くとゼンマイ巻いてるボク。机の上を走るエヴァ。

若干デフォルメされてるけれど、すごくよく再現されてる。塗装も色味もキレイです。
ほんとはアルピーヌ・ルノーかハマーが欲しかったんだけど。でもコレはコレでとっても満足度高いです。

箱にはちゃんとルノーとGMのライセンスが書いてありました。やっぱりちゃんと再現されてる。そこまでのこだわりはさすがです。うん、いいオモチャ。
モノ | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

続続・手ぬぐい

次は大原美術館のミュージアムショップにて。
またまた遭遇した“かまわぬ”の手ぬぐい。
 

バーナード・リーチの「鉄釉抜絵兎文の大皿」の図柄をそのまま抜き出して、ひたすら等間隔で並べてあるパターン。広げるとウサギさんがわらわらとたくさんいて。手仕事がデジタルに並ぶ、そんな少しミスマッチなところが良いです。

ウサギの部分もただ真っ白に染め抜いてあるだけじゃなく、うっすらベージュに染まっていて、とっても落ち着いた色味。

ご当地手ぬぐい集めも、ぼちぼち少しずつ進行中。と、同時に、日常生活での手ぬぐい使用頻度もアップ中。
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倉敷で民藝

   この週末は、気候の穏やかな瀬戸内へ。特に明確な目的も持たずに新幹線に乗って、岡山へと。


ふらり倉敷へ行って、とりあえず外せない、ってことで大原美術館。

グレコ、モネ、ロートレック、マティス、ゴーギャン、ルノワール。有名な絵が集められた本館はもちろん素晴らしいのだけど、それより印象に残ったのが工芸館でした。

大原美術館 工芸・東洋館


中には浜田庄司、バーナード・リーチ、富本憲吉、河井寛次郎、棟方志功。民藝の教科書で読み知っていた人たちの、実作がずらり展示。


なにもない空白の中庭をぐるり取り囲むようにして。元米蔵だった建物を、つなぎ合わせて展示室にしています。微妙にプロポーションの違う建物は、それぞれが作家ごとの展示室になっていて、内装も似ているようで微妙に変えてある。というか、元々揃っているはずがないのか。


今でこそこういう“転用”はたくさん目にするけれど、昔は珍しかったんじゃないかとも思います。有名な建物じゃなくて、ただの米蔵を残そうっていうのはね、なおさら。でもその転用や見立ての手法や素朴さが、ここに展示されているモノの雰囲気にピッタリ。

建築による民藝の表現って、こういう感じかと。


室内の床には木のブロックがレンガ状に敷き並べられていて、それも建物ごとにパターンが違う。昔は目が詰まっていたんだろうけど、今はちょっと痩せて、歩くたびに、ギュ、ギュ、と踏み固められていく。そんな感じもまた楽しめたり。


なんてことないんだけど、展示方法自体の変遷を展示してたりして。目の付けどころが渋いなぁ。

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