で、あってましたっけ。渋谷の地中に埋まった宇宙船。
副都心線 渋谷駅 (安藤忠雄建築研究所)
なぜ渋谷に宇宙船(いやタマゴ、ラグビーボール、いや“王蟲”だな)が埋められたのかはさておいて、駅としては抑えた意匠で良い感じ。
ラグビーボール型の地宙船はGRCでできていて、コンタを切ったような構成になってます。滑らかな表面をつくることもできただろうに、なぜこうしたのかは分からない(コスト?)んだけど、これが未来感を増幅させてます。ディティールを緻密に描くことで未来感を出すのは、スターウォーズ的手法。
ラグビーボールには方向性があるから、場所を知らせる手がかりにもなる。球だとぐるり全方位に対して平等な見え方だからダメです。地宙船はなんとなく、やんわりと機能しています。
もうひとつの売りは、自然換気。上層部に開けた縦穴から吸気と排気をとって、地下5階部分までの空気を、換気装置なしで換気しています。
縦穴は壁面緑化されてました。
“煙突効果”を利用して、地下駅構内全体の空気を入れ換える。縦穴を緑化しているのも、葉っぱから蒸散する水分で吸気側の温度をできるだけ下げて、効率を上げるのが狙いだと思う。この規模で自然換気だなんて、効果について半信半疑だったのだけど、縦穴付近でじっとしてると、わずかに空気が流れてるのを感じる。おお、すごい。
機械換気にかかる電気代もメンテナンス大も、この規模になるときっとバカにならないでしょうから。環境配慮の設計ってことです。そもそも新線を建設するのに、とてつもない環境負荷がかかってるんだと思うんだけど。
駅構内はすごく広くて、しかも味気ない地下駅なので、油断するとどこにいるのだかわからなくなります。それをポップに解決しているサイン。
壁面いっぱいのサインシステム。
色遣いがカワイイ。少しやりすぎてる場所もあったのだけど、基本的にほとんど壁面だけの情報で誘導するっていう考え方は、わかりやすいくて良いです。最小限の情報を引き延ばしてたくさん並べるっていうのは、これまであんまり無かった感じ。
ブラブラしてると、妙なところも発見できます。天井が一部アクリルになっていて、ライティングされてる場所。
おそらく地中障害のコンクリート塊。取るのがめんどくさかったか、構造的に取れなかったか。それを天井の中に押し込んでしまうんじゃなくて、あえて見せにいってます。リノベーションの物件なんかで時々目にする、OMA的手法。
なによりも、ホーム階からの吹き抜けが、やっぱり良いなぁ。みなとみらい駅でも思ったこと。行き来する電車を眺めるって行為は、もっとオープンになってイイと思う。無意識的にしちゃいますからね、そういうこと。