3日目。
ちょっと遅めのスタートは、観光地の天壇公園から。ここも世界遺産。でも、みんなアイスクリーム食べながら見学。あんまり気にしないんですね、そういう部分は。日本だったら確実に飲食禁止だろうと思うのだけど、この寛大さ(?)は、建築を構成する素材の違いからかなとも、思ったりします。
その後どこへ行こうか迷ったあげく、ちょっと面白いものを、と思って次の目的地を決定。
中華世紀壇 設計:余力
北京西駅からズバッと続く軸線の先には、ツノ。ニョキッと生えています。
とっても記号的で、とっても“中国的な”建築。タクシーの運転手にツノを書いたスケッチを見せたら、この場所を理解してくれました。
中身は博物館のような、美術館のような。キンキラキンの“世紀ホール”があったり。
再びタクシーを捕まえ、奥林匹克体育中心へ。「奥林匹克」と書いて「オリンピック」と読みます。
メインスタジアムは“鳥の巣”と呼ばれていて、タクシーの運転手に「鳥巣」と書いたメモを見せたら、工事現場の中で一番スタジアムに接近できる場所に連れて行ってくれました。まだまだ工事中なんだけど、これだけは一目見ておきたかった。
北京オリンピックメインスタジアム 設計:Herzog & De Meuron
ぼんやりとした砂煙の向こうに、鋼鉄製の鳥の巣。久しぶりに、遠くに見えるシルエットに鳥肌が立ちました。
意外にも、実物の方がそのジオメトリーをはっきりと感じられるような気がします。ランダムさは見かけだけで、実はとても正当にまとめられている。そして何より、建築とかスタジアムとか、そういうものを飛び越えて、オブジェクトとして非常に強い。
すぐ近くに「水立方」こと水泳競技場もあって、こちらも外観はほぼ完成。鉄骨フレームと膜構造の取り合いもきれいに納まっていて、泡泡した外観はちょっと見たことない感じに。これも建物というよりもオブジェクトそのものだと言えます。
これでいいのか、という疑問もあるけれど、現実として立ち現れている姿を見るとなんとも言えない気分。答えは見つからず。ただただ、そこでのボクは傍観者でした。
最後の晩ご飯を食べに向かったのは、南鑼鼓巷っていうストリート。
南鑼鼓巷の風景。端から端まで歩いて10分ぐらい。
胡同(フートン)って呼ばれる伝統的な密集平屋の立ち並ぶ通り。民家を改装した1軒のカフェが徐々に増殖して、カフェやバーがちょうどいい密度で立ち並んでるエリアです。一番“今”っぽい場所かもしれない。
普通の家も、散髪屋さんも、地元のご飯屋さんも、オシャレなバーも、ゆるいカフェも、一緒くた。グレーの壁と、街路樹のグリーン。ここでも改装は最低限です。
古い家は通りに面して基本的に閉じていて、コートヤード(中庭)をもつ構造。だから、ちょっと大きなカフェにはいると、中庭があってとても気持ちがイイ。家屋はほとんど平屋だから、囲まれた頭上には、空しか見えません。
夕暮れていく空を見ながら、北京生ビール頂きました。
と、最終日は空港へ直行したので、ペキンレポートはこれにて終了。
デザインとか建築とか、そういうものじゃなく。変わりゆく街の熱気とひずみ、それを肌で感じた旅だった気がします。普段見えなくなっているものがいっぱい見えた旅でもありました。言葉の大切さ、なんかは特に。
まぁ結局ね、どこへ行っても建物ばっかり見てる気がしますけども。それでいいんです。
あ、そういえば万里の長城行ってないなぁ…。