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ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

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デザイン

たぶんこんな時代だから、結構な数の人が一度は考えたことあるんじゃないかと。ボクも例外なく学生の頃、仲間同士で議論したこと。「“デザイン”と“アート”(なぜか“芸術”ではない)の違いとは何か」ってこと。

クライアントがいるのがデザインで、自分の好き勝手やるのがアートだ。
とか。
デザインはサービス業で、アートは自己表現だ。
とか。

まぁその時々でいろいろと結論は出るわけです。でもなんだかその境界はやっぱりモヤモヤと曖昧で。そんな時に、フラッと入ったちょっとトガった雑貨屋さんで出会ったコイツを買ったのです。たぶん7年ぐらい前のこと。
陶製紙コップ
"CRASHED CUP" デザインした人Rob Brandt(ロブ・ブラント)。オランダのアーティスト、1975年の作品。

くしゃっとつぶれた紙コップ、のカタチをした陶器のカップ。
今となってはこういうプロダクトって結構あって、それ以上に、こういう発想自体が広まっているような気がしますけど、何も知らなかった当時のボクにとっては結構ショッキングな出来事でした。

そう、これはなんとも判断しがたいなぁと思ったわけです。デザインか、アートか。

何が言いたいかというと、今現在の話なんですけどね。
今はもうそんな“アレ”と“ソレ”の境界線なんて、気にしなくなったんです。それが良いことかどうかは分からないけど、白黒つけることになんて、あんまり意味がないんじゃないかと思っているのです。つまり、別に純然たる“デザイン”そのものなんて、目指しているワケじゃないのだと、気付いたということ。ひとつの解決策としてのデザインだということ。頂上へと上るルートは、ひとつじゃない。
今またこのカップを見つけて、ふと、そんなことを。


言葉にするにはまだ時間がかかるけど、そんなボクは今、「公共のデザイン、公共というものの有り様」について想いを巡らせているところ。

3つ買ったうち、1つは落として割ってしまった。それでも「絵」になるから、そのまま置いてあります。今でもTRICOで売ってるよう。久しぶりに、買い足してみようかな。
モノ | permalink | comments(4) | trackbacks(0)

薄型化

ウチの周りでも、いよいよ信号機の薄型化が進行中。
LED式車両用薄型灯器
LED式車両用薄型灯器

庇の短いこと、短いこと。見慣れないせいか、まだちょっと、違和感あります。
歩行者信号の方は、まだ薄型化されない模様。
日記 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

気球クラブ、その後

ボクの場合、切ない映画は夜に観る、のではなくて、夜に見る映画は切ない、ってことになっている。ただこの映画のなんとも言えない青く切ない感じは、よく晴れた昼下がりでも十分に染み込んできてしまいそう。
気球クラブ、その後
気球クラブ、その後」 監督:園子温

みんな、って誰か。誰が居れば、みんなになるのか。なんて。

集団というものの、なんと脆いこと。ふわふわとした不確かさ、曖昧さ。まるで宙に浮かぶ気球のように。だけどその瞬間瞬間は、本気で笑ったりはしゃいだりしている。そこには決して“偽り”はない。

ふと、どこか思い当たる節。世の中の組織や集団は、どこかそんな曖昧さを孕んでいるのだな。とても危うく弱くぼんやりとした“繋がり”の、切ないことと言ったら、もう。

永作博美の、絶妙に微妙な笑顔と言ったら、もう。
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ペーパーショウ

あ、そうだ。
と思って竹尾ペーパーショーに。閉場間際にもかかわらずすごい人。想定以上の来場者で、なんと午後の時間帯早々にパンフレットがなくなってしまったんだとか。

水野学(good design company)・古平正義(Frame Inc)、平林奈緒美の3名がディレクションした今回のテーマは「FINE PAPER」。考える紙展やhaptic展の時のような“マテリアルとしての紙の可能性を探る試み”とはちょっと違っていて、“竹尾の紙をいかに既存プロダクトへ落とし込むか”が、デザイナーとショップがタッグを組むという手法で示されています。
なので、実験的な印象は薄くなって、実践的な感じ。“見本市”的な性格が強い。

ショッピングバックとか販促モノとか、展示されているモノ自体はどうしても既視感がある。例えば本城直季さんは、写真をパックする紙のトレーをつくったりしているのですが、手法としてはhaptic展でジャスパー・モリソンがデザインした紙の時計と同じです。「!」はちょっと少ない。
そんな中、ちょっと感心したのがこれなのです。
竹尾ペーパーショー
伊藤桂司×H.P.FRACNE BIJOUX 右側は展示台

紙でできた箱。で、表面にはちょっとリッチなプリントがしてあります。ここで使われている紙は「マーメイド」。表面が凸凹した紙で、たぶん誰もがどこかで見たことあるのではないかと思います。
で、なにが印象的だったか、というと。この箱はすごく硬いんです。箱だから硬くて当たり前なんだけど、本来マーメイドって硬くはないんですね。一番アツイのでも210キロ。
見た目や手触りなんかは知っているのと全く同じ。でも硬い。記憶と体験とがちょっとだけズレるんです。
種明かしをすると、同じ紙を3枚重ねにしています。重ねて接着。そんな簡単な操作でキャラクターがグッと変わる。紙の魅力のひとつだと思います。

丸ビルであった東京展では、実際の店舗へと展開していくことで、もっともっとリアリティを持った提案になっていたんでしょう。大阪では、それができないためにただの“展示会”になってしまってるのが残念でした。
貴重なのは、全ての展示物に“触れてもいい”ってこと。全ての質感を、肌で感じることができるって、やっぱりイイ。モノとして、手触り・触覚、まさにhapticな感覚って、とても大事です。
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ペキンレポート3

3日目。
ちょっと遅めのスタートは、観光地の天壇公園から。ここも世界遺産。でも、みんなアイスクリーム食べながら見学。あんまり気にしないんですね、そういう部分は。日本だったら確実に飲食禁止だろうと思うのだけど、この寛大さ(?)は、建築を構成する素材の違いからかなとも、思ったりします。

その後どこへ行こうか迷ったあげく、ちょっと面白いものを、と思って次の目的地を決定。
中華世紀壇
中華世紀壇 設計:余力

北京西駅からズバッと続く軸線の先には、ツノ。ニョキッと生えています。
とっても記号的で、とっても“中国的な”建築。タクシーの運転手にツノを書いたスケッチを見せたら、この場所を理解してくれました。
中身は博物館のような、美術館のような。キンキラキンの“世紀ホール”があったり。

再びタクシーを捕まえ、奥林匹克体育中心へ。「奥林匹克」と書いて「オリンピック」と読みます。
メインスタジアムは“鳥の巣”と呼ばれていて、タクシーの運転手に「鳥巣」と書いたメモを見せたら、工事現場の中で一番スタジアムに接近できる場所に連れて行ってくれました。まだまだ工事中なんだけど、これだけは一目見ておきたかった。
鳥巣
北京オリンピックメインスタジアム 設計:Herzog & De Meuron

ぼんやりとした砂煙の向こうに、鋼鉄製の鳥の巣。久しぶりに、遠くに見えるシルエットに鳥肌が立ちました。

意外にも、実物の方がそのジオメトリーをはっきりと感じられるような気がします。ランダムさは見かけだけで、実はとても正当にまとめられている。そして何より、建築とかスタジアムとか、そういうものを飛び越えて、オブジェクトとして非常に強い。
すぐ近くに「水立方」こと水泳競技場もあって、こちらも外観はほぼ完成。鉄骨フレームと膜構造の取り合いもきれいに納まっていて、泡泡した外観はちょっと見たことない感じに。これも建物というよりもオブジェクトそのものだと言えます。

これでいいのか、という疑問もあるけれど、現実として立ち現れている姿を見るとなんとも言えない気分。答えは見つからず。ただただ、そこでのボクは傍観者でした。

最後の晩ご飯を食べに向かったのは、南鑼鼓巷っていうストリート。
南鑼鼓巷
南鑼鼓巷の風景。端から端まで歩いて10分ぐらい。

胡同(フートン)って呼ばれる伝統的な密集平屋の立ち並ぶ通り。民家を改装した1軒のカフェが徐々に増殖して、カフェやバーがちょうどいい密度で立ち並んでるエリアです。一番“今”っぽい場所かもしれない。
普通の家も、散髪屋さんも、地元のご飯屋さんも、オシャレなバーも、ゆるいカフェも、一緒くた。グレーの壁と、街路樹のグリーン。ここでも改装は最低限です。

古い家は通りに面して基本的に閉じていて、コートヤード(中庭)をもつ構造。だから、ちょっと大きなカフェにはいると、中庭があってとても気持ちがイイ。家屋はほとんど平屋だから、囲まれた頭上には、空しか見えません。
夕暮れていく空を見ながら、北京生ビール頂きました。


と、最終日は空港へ直行したので、ペキンレポートはこれにて終了。
デザインとか建築とか、そういうものじゃなく。変わりゆく街の熱気とひずみ、それを肌で感じた旅だった気がします。普段見えなくなっているものがいっぱい見えた旅でもありました。言葉の大切さ、なんかは特に。
まぁ結局ね、どこへ行っても建物ばっかり見てる気がしますけども。それでいいんです。
あ、そういえば万里の長城行ってないなぁ…。
建築 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

ペキンレポート2

2日目。
は、ほとんど故宮博物院にいました。だってデカイんだもの。おまけに中国版ゴールデンウィークで、すごい人なんだもの。
天安門広場から故宮、景山公園(風水に基づいて、人の手によってつくられた44.6メートルの山。って、すごい。)へ抜けるルートは、北京という街の持つ威厳とスケールの大きさと軸性を感じるための王道です。

天安門広場へ行く前に、ひっそりと北京の都市計画を見せる展示館があります。なかなか面白いのに、ほとんど人がいなくて寂しい感じ。
都市模型
北京市規劃展覧館

北京の巨大な都市模型が見られます。森都市未来研究所の「都市の模型展」もすごいですけど、もっとデカイ。故宮を中心に水紋のように広がる環状道路を持つ北京の都市構造を掴むにはちょうどよい感じです。
ただ、北京という街のスケールや威厳は、模型では感じられません。やっぱりここは中国の中心なんだなぁって、歩いて感じる強い印象が、ここではちょっと薄れます。それは北京という街が、俯瞰せずとも中心を感じられるような空間になっているからかな、と思ったりします。軸線は偉大です。

ここには、「未来家居」と名付けられた未来の住宅像が展示されていて、なぜかザハ・ハディドの設計だったりします。
未来家居
なぜここでザハ?と思いましたが、まぁ深くはつっこまずにスルー。内容も、スルー。

一通り観光した後、今日美術館を目指す。とはいえやっぱり美術館なんてタクシーの運転手は知らなくて、行くのに苦労しました。言葉ってやっぱり大事です。
今日美術館
今日美術館(Today Art Museum) 設計:張永和(アトリエ非常建築)

ここも既存の熱源施設をコンバージョンした美術館。建築家の手による設計なので今まで見てきたものよりずいぶん手は入っているけれど、それでもいい感じのラフさがあります。元々開口部だったんだろうなって場所も、新しいレンガで塞いだだけ。このラフさ。これってやっぱり“中国的”なんだろうなって。
入り口のスチールフレームはグレーチングです。スペースのない中で、山道のように折れ曲げられたアプローチが印象的。

ちょっと中心から外れた立地で、周辺はタクシードライバーの休憩場所だったり、路上散髪屋さんがあったりする環境。でも、ものすごい勢いで開発が進んでいます。実はこの美術館も“ピンゴッド”というディベロッパーが住区に先行してオープンした美術館だったり。来年のオリンピックの頃には、すっかり風景が変わっている気がします。
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ペキンレポート1

なぜ北京か、といわれると、ホントに「何となく」だったりして。「友達が働いている」っていうのも大きな理由のひとつ。でもでも、ほんとはこの街の・国の“勢い”を、単に目撃したかっただけなのかもしれません。確かめたかっただけなのかもしれない。

初日。
空港を一歩出てみれば、“大陸の匂い”がしました。ウソでもなんでもなく。まぁ雨も少なくて乾燥しているから、砂埃っぽいんですね。その匂いがなんとも大陸っぽい。そんな感じなので、カメラも最終日にはジャリジャリになりました。
まずは空港からタクシーを捕まえて「798藝術区」へ。
798藝寿付く
798時態空間(798Space) の、有名なボールト天井

工場だった一帯にアーティストが住み着き、ギャラリーができ、人が集まり、またアーティストが増え、カフェができ…っていう場所。どこそこの首相が視察に来た、だとか、新しい世界のアートの中心だ、とか。なにかと見かける機会も多くなってきました。

無理矢理既存の建築的定義におさめようとすると、“コンバージョン”っていうことになるんだろうけど、もっともっとラフな感じ。特定の建物ではなく、工場エリア一帯が798藝術区で、なんとも整理されていない状況に、パワーを感じる。
よく見かけるこの写真の場所は一番大きなギャラリーで、その他星の数ほどあるギャラリーのほとんどがレンガ積みのバラックだったり、古ぼけた3階建てRCの建物だったり。資本が入ってる部分は、ガラス張りのテラスとか増築されてたりするのだけれど、ほとんどがほぼ“そのまま”。とってもラフ。察するに、ニューヨークのSOHOも、昔はこんな感じだったのかな、と。でも工場ですからね、もっとワイルドです。必要最低限しか手を入れないっていうのが常套手段のよう。これから資本が入ってくると、状況はもっと変わるんだろうと思いますが。

現状は混沌としていて、良いもの悪いもの、玉石混淆といった感じ。最近では観光ツアーのコースにも入っているようで。“ピュアさ”を求めると肩すかしを食らうかもしれません。現に、すでにスプロール化が始まっているらしい。
いろいろと話題になってる場所ですが、タクシーの運転手はそんなこと全然知りませんでした。空港のインフォメーションの人も、この場所の存在さえ知らなかった。たぶん、北京に住むほとんどの人が知らないのかもしれない。そういう「温度差」のある場所でもあります。

続いて、建外SOHOへ。
建外SOHO
山本理研設計工場,C+A,みかんぐみ
北京新紀元建築工程設計有限公司,北京東方樺太建築設計工程有限公司

理研さんがマスターアーキテクトとして設計した街。止めどなく反復されるおびただしい数の白いグリッドはが、寸法としてはヒューマンスケールを保っているのだけれど、その繰り返され加減がちょっと異様。そこは建築雑誌に載っている写真の印象そのままでした。でも、足下に近い部分のカスタマイズのされかたは、やっぱり中国的だったりします。
建外SOHO2
看板がびっしり。

意外にも空き部屋が多いです。低層等の店舗部分も、テナントが入っていないところがポツポツ。CBDと呼ばれるビジネス特区にあるので、テナント料が高いんでしょうね。ターゲットは完全に海外資本だし。
中にある設計事務所に入れてもらったのだけど、ここで本気で暮らすのってけっこう難しい気がします。室内にはもちろん水回りその他設備はあるのだけど、生活しているシーンは見えない。
地上レベルは、よく“計画”されています。使われ方と一致しているかは分かりません。ガチガチだけど、結局使いこなされてしまうものだとも思います。地上レベルと地下駐車場との関係がなかなか面白いです。
びっくりしたのは、道路の向こうの隣のブロックに、これと全く同じのが増殖していること。スピードって怖いです。

この後設計事務所のみんなとおいしい北京ダック。さらにBEDっていう、古い民家を改装したバーへ。伝統的な中庭のある家屋をそのままバーにしてるのだけど、ここもやっぱり最低限だけ手を入れて、あとはとってもラフな感じ。DJブースがあって、アンビエントなBGMが流れるエッジなバーなのに、注文とりにくるのは家族経営のお父さんだったりします。
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記録42枚

レポート、レポート、レポート…と思っていたのだけど、先に写真をまとめてみました。最近、ブログとどっちがメインなのかよく分からなくなってきてるウェブサイトですが、そちらの方に北京の写真42枚をアップ。
fotologueの方は、実は番外編。久しぶりにまとまった量の写真を組んでみると、なかなかしっくりこなくて手間取ってしまいましたが、なんとか。
北京レコード
「北京レコード」

お時間あれば、サイトの「works→photographs」と、辿ってみてください。

42枚の記録で、今の空気を運べたら。と、思います。
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福島の高架下にあるライブハウス2nd Lineへと、久しぶりにライブ。その名も“音色電車”。
サカナクション
目的はサカナクションだったのです。

久しぶりにイイ“音圧”を浴びてきました。空気が揺れて、着ている服がビリビリする感覚。一番前で、音にグッと押される感覚。
バンド名のイメージからか、サカナクションの楽曲は、ボクにとってどこか「海」を連想させるような、そんなユラユラした感じがします。

キーボードから発せられる電子音とロックサウンドがすんなり同居している感じ。なぜかちょっと懐かしさを感じるメロディーと、ユラユラした感じ。気持ちいいです。

そうそう。
サカナクションの2本のギターには、白いアップルマークが貼られていました。ボクの敬愛する先輩の、赤いギターにもアップルマークが貼られています。そんな偶然を発見しました。うん、なんかとてもいい感じです。
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Beijing

中国は北京より、5元紙幣1枚と、たくさんの土埃と、5冊の書籍と、2GB弱400枚ちょっとの写真データと共に帰国いたしました。
ただいま

北京は、ウワサに違わぬ“ホットな”街でした。
連日30度を超す気温で、かなり日焼けをしましたし。

大半は観光に終始してしまいましたけれども、それでもレポートはまた、後日。
世界遺産だけでない“今の”北京をお知らせできればと思います。


Of course, I found a lot of WONDERs.
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