HASH BLOG

ブルーグレイな日々とデザインのメモ帳

生態学的視覚論


学生の頃、この本に出会っていなければ、ボクの世界観も、デザインというものに対する考え方もすっかり変わってしまっていたんだろうなぁと思います。

ふと自宅の本棚を見ると、その本がない。確か手元にあったはずなのに。いろいろと考えた結果、やっぱり原点回帰の意味も込めて再購入することに。

「生態学的視覚論(The Ecological approach to visual perception)」J.J.ギブソン

アフォーダンス理論、なんてもう一般的に使われる用語になってしまいましたが、当時初めてこの言葉と理論を耳にしたときは、なにかまったくボクの知らない世界の扉が開いたようで、沸々と熱い興味が湧いてきたのが思い出されます。

アフォーダンスという、世界のもつ絶対的“意味”を、人が発見することで行為が生まれる、という理論も刺激的だったんだけど、それ以上に、視覚的な知覚は人の能動的な動作によってもたらされのだ、ということの発見が、ボクにはより意味のあることだったような気がします。

つまり、世界の全ては関係性で成り立っているのだ。そう、考えるようになったのはこの頃からです。だから、大学での研究もアフォーダンスではなく、都市の視覚的レイアウトを集める、ってことをやりました。
最近は、というと、どう自分の思うとおりに回せるか、ということばかり考えてしまっている。だからもう一度、この本をはじめから読んでみようと思います。
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考える

村上春樹の新刊を持って行こうかと思ったんだけど、ハードカバーの本ですら余計に思えるほどのウルトラライトな荷物量だったので、パス。随分前から“積ん読”状態だったこの本を、今回の旅に持って行くことにして。
「はじめて考えるときのように」文:野矢茂樹、絵:植田真

「“考える”ということを考える」という、まるで禅問答のような問いかけがテーマ。
哲学書、というと固く感じるけれど、口語体で話しかけるように書かれた文体と、なぜかいつもちょっとした脱線話が挟み込まれる不思議な本。本文と無関係な不思議なイラストと、茶色で刷られた(しかもなにげに2色刷)テキストと。なんとも、不思議な本。

これを読んだからといって、考えるっていうのがどういうことか理解できる、そういう内容ではない。哲学を分かったような気になる内容でもない。でも、ちょっとずつ、後半に読み進めるに従って、自分が考える時にヒントになるような考え方(「考え」頻出でスミマセン)の核心がさりげなく撒かれていて、個人的にハッとすることが多かった。

論理を有効に使う。
ことばを鍛える。
頭の外へ。

とかね、とくに。学生のころ、デザインの手法を「言語化」することを口酸っぱく言われたことが、今になってようやく自分なりに、腑に落ちた。
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3月のライオン

どうも、集中力が続かない日々。
あれやこれややりたいのだけれど、そこに突き進むモチベーションも持てず。ちょっと生活が停滞している感じ。

集中力が続かないので、当然活字離れも進み、最近はあんまり本を読んでない。俗に言う“積ん読”状態。以前はそれでも欲しい本はとりあえず手元に置いておいたのだけど、それすら躊躇するようになっちゃって、ちょっと重傷。

手始めに、じゃないけれど、こういう時は無理して焦らず、走らず。とにかく読める物を読むということで、これを借りてきた。
「3月のライオン」海羽野チカ

こういう時に、ボクは漫画に頼る。

もはやボクが一から説明するまでもない、「ハチミツとクローバー」と同じ著者のマンガ。
高校生にしてプロ棋士の主人公が、屈折した心と“ふつう”の日常の狭間で、(たぶん)成長してゆく物語。将棋という、誰かと対戦する頭脳ゲームを題材にしながらも、その頭脳ゲーム自体が実は自分との勝負であることをうまく描き出していて、ハッとすることが多い。
題材は重く、暗めだけれど、柔らかいタッチの絵に助けられてちょっとだけ重量感がなくなってる。その分だけ、胸がズキズキして切ない。



ボクは、優しい人間になりたい。
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基本原理

余裕のない毎日だけど、そんな時間の過ぎて行き方にツイッターというメディアが割とぴたっとハマっています。タイムラインに流れる玉石混淆な情報が、手っ取り早く脳みそを活性化してくれる。

この本もそう。デザイナーの山中俊治さんがつぶやかれていて興味をもったのが読み始めたきっかけ。「何度これに救われたことか」という言葉を見て、本に救われるとはどういうことか、とも。
「アイデアのつくり方」ジェームス・W・ヤング

たぶん、僕がこれまで読んできた本の中で、一番(物理的に)“薄い”。それが手元に来たときの驚きの第一印象でした。それだけでもかなりのインパクト。
余計なことははほとんど書かれていなくて、訳者のあとがきまで含めてもほぼ100ページ。そのうちヤングさんの書いた部分は57ページ。1時間もあればさくっと読めてしまいます。
読後の、そのズバリ感がまたかなりのインパクト。

「アイデアは新しい組み合わせである。」
ヤングさんはそう書いています。そしてそれを実現するための5つのステップも、ものすごく簡潔。
自分の中からアイデアがわき上がってくるプロセスや、アウトプットしたものを改めてロジカルに見直したことはなかったのだけど、割と思い当たる節があるのです。
アイデア抽出をシステマチックにやるための本ではありません。ただ、アイデアが、ごく一部の天才のものだけではないと分かるのは、まさに“救われ”ます。

日本語版の初版は1988年。それから23年の月日が経ってもまだ、内容が古びれないというのはまさに真理を突いているから出はないかと思います。
後半の、竹内均さんによる解説がまた素晴らしいです。そちらも一読の価値あり。
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ビューティフル

時間に余裕のあるお正月休みのために買い込んだ数冊の本。その中の1冊(マンガだけど)。
『ビューティフルピープル・パーフェクトワールド』坂井恵理さんの、書き下ろし。

時々、ヒトの欲とか要望とかに、応え続けるとどうなるんだろうと考えることがある。そんなことは現実にあり得ないのだけど、いくところまで行き詰まって、モノやコトを象るフォームに対するオリジナリティが何かもわからなくなって、やがて模倣、リメイク、パロディ、インスパイア、リスペクトが横行する世界。

例えばその状態を、人類のクリエイティビティに対する「停滞」とすると、ボクたちの興味はどこに向かうのか。それを仮想的に人体改造=美容整形として描いたのがこのマンガ。“美しくあること”の欲求が、モノだけではなく、ファッションだけでもなく、身体そのものへと向かう世界。

詩的な装丁とは違って、割とライトでコミカルなタッチで、エピソードがいくつか続きます。
アニメ顔に整形した兄の話だったり、男か女かすら分からないまで身体をいじりまくる設定自体はあり得ないし、だからこそ軽妙な読後感なのだけど、孕んでいる問題認識は割と奥が深いと思う。

ヒトは何を、どこまでデザインできるんだろう。
新年早々、そんなことを考えたり。
そんなことよりまず目の前の、それを良くすることを考えなさい、ってことなのかもしれないけれど。
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オーロラ

aurora. photographの“東京、オーロラ”が、になりました。

という知らせを聞いて、アオくんたちに会うべく東京は青山へ行ったのでした。
スパイラルで待ち合わせ。
「東京、オーロラ」青柳圭介

僕がネットでウェブサイトを始めた頃、きっかけが何だったかも忘れちゃったぐらい前で、知り合ってもうかれこれ10年近く。こうして本が一冊できあがるってすごい。素直に感動。

今回は、念願だったの佐々木Rさん(!)にも初めて会えて、表紙のミキさんにもおまつさんにもゆうさんにも会えて、とっても充実した一晩。

でもなぜか、東京で関西風のお好み焼きを食べたのでした(通算2回目)。関東の人はお好み焼きをケーキみたいに切り分けるってことを、かつてこのメンバーに教わった思い出もフラッシュバック。

写真集は、ボク仕様にカスタマイズしてもらいました。
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モテキ

ボクのモテ期っていつだったんだろう、幼稚園時代なんだろうなぁ。なんて読む前にかるくストレッチして。

ドラマ化されて、ほぼ日でも取り上げられ、まわりからも薦められ、おもしろいと評判のマンガ。閉店間際の本屋さんに駆け込み、大人買いして一気読み。
 『モテキ』 描いた人、久保ミツロウさん。

もう少し、じっくり読むべきだったかも。糸井さんが「もっと読みたかった」というのも、分かる気がします。作者である久保さんの洞察力というか、観察力というか、もしくは多大なる想像、妄想か。妙にリアリティがありながら、どこか破綻してるのが面白い。

それにしても、読後感はひたすら悶々とした感じが残ってる。煮え切らない、スカッとしない。なんだかテーマを自分自身に突きつけられてるような居心地の悪さもあり。でもそれだけじゃない。
でもまぁこのマンガは、その悶々具合がイイんだと思います。
ストーリーの確信も、モンモンモヤモヤ、だと思うので。

うーん、モンモン。もう一回読もう。
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デザイン思考

ようやくこの本を読み終わって。
内容を咀嚼しながらふつふつと湧いてくる疑問を、ツイッターでブツブツとつぶやいていたら、何人かの方からリツイートをもらい、久しぶりに脳みそが活性化中。
『デザイン思考が世界を変える −イノベーションを導く新しい考え方−』
書いた人、ティム・ブラウン。

『発想する会社!』『イノベーションの達人!』に続く、IDEO関連の本です。前著2冊に比べて、極端に図版が少なくて、写真もなく、もちろん1色刷り。これは何か違うぞ、という予感が、読み始める前から。

「デザイン思考」って、そのネーミングから、デザイン的な思考をすること、もしくはその思考そのものと思われがち。いや、そういう解釈ももちろん広義にはOKなんだけど、ここに書かれているのは、“方法論”としてのデザイン思考なのでした。

どうすればIDEO的な仕事の仕方ができるのか。イノベーションを起こす仕事ができるのか。曖昧なところは出来るだけ少なくしながら、論じられています。
デザインという行為のブラックボックス性、ある種のファンタジー性を、“のりしろ”としてどこかに残しておきたい気持ちで読むと、なんだか丸腰にされた気分になって、それがなんとなく違和感というか、モヤモヤと引っかかります。もちろん本で語られていることは明快で、この違和感・モヤモヤは悪い意味のものじゃない。

では、なにか。というところを考えています。

たとえば“建築的思考”もしくは“建築設計思考”という言葉が、建築屋の職能として成立しうるかどうか。うーん、まだなんとなくモヤっとしているぞ、と思ったのです。それは、建築的思考がまだ方法論ではなく、概念のレベルだから、なんだろうなぁと。どっちが良いとか悪いとかじゃなく。

そこで思い出したのが、藤村龍至さんの「超線形設計プロセス」だったわけです。設計プロセスについて、藤村さんほど割とハッキリ方法論を語っている人は、あんまり思いつかないん。もちろん「超線形〜」だけが建築的思考ではないですが、デザイン思考という方法論と、建築設計の方法論が、ある意味“見える化”されて対峙してる構図がボクの中で出来上がったわけです。
なんてことをつぶやいていたら、スタンフォード・デザイン・スクールのMultidisciplinary Approachの枠組みが重なる、なんていうアドバイスをもらって、これも調べなきゃなぁと、ますます脳みそが活性化しております。

方法論として表出してしまうと、それ以上の発展性がなく、マニュアルに沿ってコトを進めるだけになってしまって、それこそクリエイティブではなくなってしまう。そういう気持ちはボクも同じです。でもこれからは、それだけじゃダメなんだろうなぁという、ぼんやりとしたイメージがある。そしてそれが、「いま、建築に何が可能か」というテーマに続いていくのだな、きっと。

という、まとまりも結論もない、長文メモの殴り書き、でした。
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3冊

最近、アウトプットするばっかりで、頭がスカスカのスポンジみたい。

ツイッターやRSSリーダーと、携帯端末やクラウドのおかげで、単なる“情報”のインプットはすごく効率的に、大量にできているのだけど、それってまたちょっと違って。ゆっくりと、ジワリと脳みその皺に染み込ませるようなインプットを必要としてる、ボク、今。

というわけで、未読の本が山積みになってるのを横目に、今読みたい本をピックアップして深夜のアマゾンでクリッククリック。
3冊。

ティム・ブラウンさんの本は、IDEO関係の2冊を読んでいたので引き続き。
デザインマネジメントの本は、7月からの環境変化ための準備体操に。
そして、「小説の一行目」。

直木賞、芥川賞を受賞した作品の“一行目”だけを並べてあります。順番も作為的にならないよう、コンピューターの乱数で決まったランダム配置。

書き出しの1行目だけで、ぶわぁっと想像力が羽ばたきまくります。ただの言葉なのに。そういうチカラがある。1ページに1作品分しか掲載しない構成になっているので、ページにはかなりの余白があって、そのおかげかもしれない。

1行目だけ、っていうのは、おそらく著作権を侵害しない範囲。実はそこも、この本のウマいところ。1日に3つぐらいをアトランダムに、丁寧に丁寧に。そんな読み方をしてみたいな。
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4冊

最近少しずつ、自宅のMacの前に座る時間が減ってます。iPhoneのおかげか、だらだらとネットサーフィンする時間は確かに減った。
でもそれはボクにとって良いことなのか、悪いことなのか、わからず。

たくさんの本、読みたい気持ちはあるのだけど。
なんとなく、最近は脳みそがそれを受け付けてくれなくて。というわけで、いつもにも増して読書のペースはゆっくり。ゆっくり。
最近読んだ本、4冊。

おっと、マンガばっかりだ。

島田虎之介さんの作品は、いつものようなゾワゾワっといろんな伏線が集合してくる感じではなく。あとがきまで読んでようやくその意図がわかって、勉強して、知識付けて、もいちどトライしたいと思わせるような内容。
今、映画にしたい作品ナンバーワンかもしれない。あぁでも、ものすごく繊細な映像になってしまいそう。

ユニクロ本は2冊め。すごく正しいことが列挙されていて、隙がなくて、途中しんどくてストップ。ずいぶん時間がかかって読了。

成功の話よりも、失敗の話が聞きたい。そんな気分なのだ、きっと。
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