ようやくこの本を読み終わって。
内容を咀嚼しながらふつふつと湧いてくる疑問を、ツイッターでブツブツとつぶやいていたら、何人かの方からリツイートをもらい、久しぶりに脳みそが活性化中。
『デザイン思考が世界を変える −イノベーションを導く新しい考え方−』
書いた人、ティム・ブラウン。
『発想する会社!』『イノベーションの達人!』に続く、IDEO関連の本です。前著2冊に比べて、極端に図版が少なくて、写真もなく、もちろん1色刷り。これは何か違うぞ、という予感が、読み始める前から。
「デザイン思考」って、そのネーミングから、デザイン的な思考をすること、もしくはその思考そのものと思われがち。いや、そういう解釈ももちろん広義にはOKなんだけど、ここに書かれているのは、“方法論”としてのデザイン思考なのでした。
どうすればIDEO的な仕事の仕方ができるのか。イノベーションを起こす仕事ができるのか。曖昧なところは出来るだけ少なくしながら、論じられています。
デザインという行為のブラックボックス性、ある種のファンタジー性を、“のりしろ”としてどこかに残しておきたい気持ちで読むと、なんだか丸腰にされた気分になって、それがなんとなく違和感というか、モヤモヤと引っかかります。もちろん本で語られていることは明快で、この違和感・モヤモヤは悪い意味のものじゃない。
では、なにか。というところを考えています。
たとえば“建築的思考”もしくは“建築設計思考”という言葉が、建築屋の職能として成立しうるかどうか。うーん、まだなんとなくモヤっとしているぞ、と思ったのです。それは、建築的思考がまだ方法論ではなく、概念のレベルだから、なんだろうなぁと。どっちが良いとか悪いとかじゃなく。
そこで思い出したのが、藤村龍至さんの「超線形設計プロセス」だったわけです。設計プロセスについて、藤村さんほど割とハッキリ方法論を語っている人は、あんまり思いつかないん。もちろん「超線形〜」だけが建築的思考ではないですが、デザイン思考という方法論と、建築設計の方法論が、ある意味“見える化”されて対峙してる構図がボクの中で出来上がったわけです。
なんてことをつぶやいていたら、スタンフォード・デザイン・スクールのMultidisciplinary Approachの枠組みが重なる、なんていうアドバイスをもらって、これも調べなきゃなぁと、ますます脳みそが活性化しております。
方法論として表出してしまうと、それ以上の発展性がなく、マニュアルに沿ってコトを進めるだけになってしまって、それこそクリエイティブではなくなってしまう。そういう気持ちはボクも同じです。でもこれからは、それだけじゃダメなんだろうなぁという、ぼんやりとしたイメージがある。そしてそれが、「いま、建築に何が可能か」というテーマに続いていくのだな、きっと。
という、まとまりも結論もない、長文メモの殴り書き、でした。